トップの発言の重みとは
いま、倉吉で一番の話題は? やはり長谷川市長が就任直後の議会発言「2期が限度」を事実上撤回したことでしょう。その反応に、現在の倉吉市の政治状況がよく分かります。
当時の新聞を見てみました(2002年6月4日付)。1面に顔写真入りの4段見出しで、長谷川倉吉市長 「市長退職金」を廃止 任期「2期が限度」と見解―。議場でたんかを切りました。市民は喝さい。この記事を受けて、週刊誌も取材に来たぐらいです。
当時、長谷川市長は現職を大差で破った自信にあふれていました。
しかし、わずか1週間後の紙面(14日付)。こんな見出しがまたも4段で躍りました。やはり退職金欲しい 倉吉市長心変わり 「もらわない」発言撤回―。市民の心は萎んでいきました。
その後は1市4町の天神川流域合併の崩壊など、どうも周囲とうまくいかなくなりました。それでも選挙には強いという神話の中、2期目は無投票。しかし、市政はいろいろな面でうまくかみ合いません。最たるものが、斎場問題でしょう。
その中での「2期が限度」撤回です。市民は「もう1期出るのか…」と疑心暗鬼というのが実情でしょう。
私は、長谷川市長の一番の功績は、かつてのあの市政の流れを断ち切ったことだと思います。これはしがらみのない長谷川市長にしかできないことで、あの場面で出馬を決断したことはたいしたものです。
ところが、行政トップ、政治家としては、やはり厳しい場面が随所に見られました。個人的には市長は周囲に気配りができ、温かいハートを持った人だと思います。だからこそ選挙に強かったのでしょう。
一方、市長批判の中でよく耳にするのは「頑固で言い出したら聞かない」「発言がコロコロ変わる」というもの。市政がうまくいかなくなるにつれその傾向が顕著になり、「2期が限度」撤回もその一つの表れだと考えます。また、自らの評価をすごく気にする人でもあります。
半面、倉吉には大きな課題があります。それは、市民が政治に傍観者的ということです。市長を陰で批判しても、自ら前に出て堂々とモノが言えない。今秋の市議選にしても、まったく初めての候補予定者は一人も聞きません。逆に言うなら、市長が発言を撤回できる素地がいまの倉吉、さらには市民性の中にあるのではないでしょうか。
長谷川市長が県議時代、県議会の控室や中部本社近くにあった事務所でいろいろ話をさせてもらいました。とにかく一生懸命、それが印象でした。いま、長谷川市長に聞きたいことは一つ。本当に満足がいく市政ができていますか。迷いがあるのではないですか。
市民に問いたいのは、倉吉市政は本当にこのままでよいのですか。
市民からよく聞く言葉の中で寂しくなるものがあります。「大学を出ても帰ってくるところがない」。私自身もUターンしましたが、働きたくても働く場がないというのは地域にとって大変なことです。倉吉も、もうそろそろ本気を出さないと、明日が見えてきません。(鵜)