引き返す勇気
北海道・大雪山系の大量遭難のニュースに接し、同じ中高年の登山愛好者として胸が痛んだ。学生時代、同じ季節にほぼ同じコースで大雪山の旭岳からトムラウシまで縦走したことがある。北海道の2千メートル級は本州の3千メートル級と同じ厳しい条件だという。この縦走コースは危険個所はなく、心配するのは天候の急変とヒグマとの遭遇だった。20数年前、トムラウシに登るのは学生の数パーティーのみ。今のような中高年の登山者にはほとんど出会わなかった。
今回の遭難の詳細は分からないが、低温と強風による低体温症と報道されている。下着一枚の違いで生死を分ける山の遭難。装備はどうだったのか、コースに無理はなかったのか、気象の変化への対応はどうだったのか。
山の遭難の8割を中高年が占め、死者数は増えている、という。 山慣れしているとはいえ、若いころに比べて体力は確実に落ちている。山登りに最も必要なことは「引き返す勇気」。誠に残念な遭難事故である。(人)