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扇風機

 わが家には2台の扇風機があり、1台は妻がもっぱら台所で使っています。男子厨房に入らずで分からなかったのですが、ある日、台所の扇風機から風がきていないことに気がつきました。羽根そのものは強力に回っているのですが、ほんのわずかしか風が来ないのです。妻は風力を最高にしてわずかに吹く風でしのいでいたのでした。もう寿命だとあきらめ、家電量販店に出かけました。売り場には北栄町の風車のように多くの商品が林立していましたが、一部の高級品を除くと非常に価格が安いのです。同程度の扇風機であれば1000円台の特価品もあるほどです。
 ふと、この扇風機を買ったときのことを思い出しました。今から26年前、学生の時に3500円で買ったものです。前の年から一人で下宿生活を始めましたが、何せお金がありません。扇風機を買うお金が惜しく、最初の年は扇風機なしで我慢しました。が、翌年は記録的な猛暑。我慢できず、その町で最も安いという家電店に行って、その店で一番安い扇風機を買いました。下宿に持って帰って組み立て、風が出たときの感激は今でも覚えています。その当時よりも扇風機が安いのです。あらためて社会はデフレなのだと実感しました。
 そんな感慨に浸っていた時です、脳裏にあるアイデアがひらめきました。急いで帰宅し、そのアイデアを実行に移したのです。すると、どうでしょう、扇風機は26年前の夏のように風を吐き出し始めたのです。実は、妻が扇風機の羽根を前後逆に装着していたのでした。(閑)

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