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言葉の力

 米子市内で先日開かれた「認知症を知り、考える会」で、若年性アルツハイマー病患者の小林紫野さん(48)=鳥取市、仮名=の話を聞きました。小林さんが病とどう向き合い、闘っているかについては、本紙の連載企画(9月22―25日)で紹介されていますが、偏見をなくすためにと初めて公の場で語った一言一言に心を動かされました。
 「お母さんのコーヒーゼリーがない。食べたんじゃないの?」。娘にそう問い掛けると、「よく思い出してごらん」。その日、自分が食べたことをいつの間にか忘れていた…。
 2007年6月に「若年性アルツハイマーの初期」と診断された小林さんは、物忘れの症状を自覚し始めたころの状況から、心に強く抱いた不安、病気についての正しい理解の大切さまで、丁寧に語りました。
 「周りに迷惑をかけてしまう悲しい気持ち。理解してもらえないもどかしさ。自分が自分でいられる時間があと何年あるのだろう。不安と絶望感に押しつぶされそうになりました」「(病気についての)世間の反応を見ると、理解されていないな、偏見があるなと感じました。人権問題を以前から考えていました。自分は差別をなくす側で生きていきたい。自分にできる一歩は行動すること。伝えることが私の人権活動です」
 集会に参加した人が確かめ合ったのは、認知症の症状がある人にバリアーを張らずに接し、助けが必要と感じたらさりげなく援助すること。「してあげる」ではなく「一緒にやる」ということでした。
 ゆっくりと、ただ、しっかりと話す小林さんの告白に言葉の力を感じました。(圭)

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