持ち株会社
3月31日の地域面にこんな記事が載りました。「メンバー拡大を提案―中海市長会」。これに対し、本紙記者が「拡大より既存組織との連携を」とコラムで異を唱えています◆中海市長会の誕生には思い出深いものがあります。平成の大合併で中海圏の自治体が変化したのを機に、中海圏域の4市長で本紙主催の座談会を開きました。その後、現在に至るまで年1回の取り組みとして続けていますが、中海市長会設置の構想はこの4市長座談会で最初に公表されたものです。当時の座談会収録記事を見ると、松江市の松浦市長が提案理由としてこう述べています◆司会者が発した「4市を舞台にさまざまなプランが浮上しているが、どこが実施母体を担うのか、役割分担をどうするのか」との指摘にこたえて、4市長会の常設を提案したのです。「例えば観光振興の面では4市の商工会議所が主体になって協議会が設置されたが、情報が市側になかなか入ってこない。行政と民間の連携の手法がはっきりしていないのが原因ではないか。その結果、同じような協議会ができて、結局、それぞれが自己主張だけで連携せず、効果を挙げてこなかった。市長会でその課題を克服したい」◆中海・宍道湖圏域は、日本海側で新潟市圏域、金沢市圏域に続く可能性を持った圏域です。それがゆえに、この圏域を舞台にさまざまなアクションが自然発生的に起きています。だれもが自由に伸び伸びと活動するのはよいことなのですが、当時取材していたわれわれでも記憶しきれないほど多くの団体が誕生し、しかも同一の分野に数多くの団体ができていました。松浦市長が指摘するように各団体の間で連携が不足していたのも事実でした。市長会は「自己主張だけで連携せず」という現状を打破するため、4市連携の扇の要として誕生したのです。◆市長会誕生から一巡し、市長会は静かにその任務を全うし、成果を挙げてきたのではないでしょうか。そこへ降ってわいてきたようなメンバー拡大論です。うまくいえませんが、拡大論からは扇の要が扇そのものになってしまうような印象を受けます。観光面であればすでに国の法に基づく観光圏が存在しています。それこそコラムで指摘されるように屋上屋です。また、宍道湖圏域の追加を持ち出せば、かたや大山の追加を申し出るなど、県境をはさんださや当てのような感じを与えます。自己主張を繰り返し、主導権争いになってしまうのではないかと不安すら覚えるのです◆傘下の会社を緩やかに束ねる持ち株会社。中海圏市長会のあり方はこんな持ち株会社のようなスタイルがいいと思っています。エリアを広げようとの考えもわかりますが、それでは意思決定も遅れますし、いままでの「自己主張ばかりで連携がない」状態に後戻りします。中海圏域で色濃い取り組みをし、輝く地域になれば必ず人々は寄ってくるはずです。(理)