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2010年06月25日

平謝り

 285.jpgサッカーW杯も一次予選をほぼ終えましたが、圧倒的存在感を放っていたのが、選手ではなくアルゼンチン代表のディエゴ・マラドーナ監督です。さすがは、元悪童ですね。おまけにチームは3連勝で首位通過ですから、毒舌も全開です。その矛先は地元アルゼンチンのメディアに向けられました。記者会見でこう言い放ったのです。
 「選手たちに謝罪をしろ」
 実はW杯の予選でアルゼンチンは調子が悪く、地元メディアはマラドーナと選手たちをぼろくそに貶めていたのです。この構図、日本とそっくりですね。
 わがサムライブルーも25日未明の死闘を制し、見事に決勝リーグ進出を果たしました。事前の予想をはるかに上回る活躍に、日本メディアは完全に手のひら返し状態です。さすがに日本代表の岡田監督は悪童とは違いますが、勝利に浮かれない自制した態度が、かえって浮かれたマスコミに対する最大の皮肉のようです。
 ここはマスコミそろって平謝りしましょう。事前の予想がまったく違っていたことを認め、脱帽しましょう。岡田ジャパンのサムライたちはやるべきことをやる素晴らしいプロフェッショナルだったのです。(閑)

2010年06月21日

「うみ」

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 「中海は不採算のうみだ」。10年以上前の松江市議会で当時の宮岡寿雄市長がこんな発言をしました。中海干拓淡水化事業で多額の国費がつぎ込まれている現状を表現した言葉です。翌日の新聞はこの発言を一斉に報じましたが、ある文字をめぐり、解釈が二通りに分かれました。
 「うみ」です。
 ある社は「不採算の海」と書き、ある社は「不採算の膿」と記述しました。どうしてこんな現象が起きたのでしょうか。
 二つの理由があります。あらかじめ答弁が分かっている場合、答弁要旨が印刷され記者に配られましたが、宮岡市長は役人が書いたペーパーを持たない人でした。ですから記者によってとらえ方が違ったのです。もう一つは記者が漢字を思い込んで市長に確認しなかったことです。市長に尋ねたところ正解は「不採算の海」だったのですが、間違えた社の記者は確認には来なかったそうです。
 「うみ」と言えば野球賭博問題に関連して大相撲の武蔵川理事長の「うみを出し切る」発言が気になって仕方ありません。問題がここまで根深くなったのは「うみ」を膿だと認識していないからではないかと思うからです。もっと踏み込めば、賭博を自己申告したのは70人弱ですが、賭博をやっていたことを知っている関係者はどうなのでしょうか。あれだけ広がっているのですから知らないはずはないのです。一方、マスコミなど協会を取り囲む人たちはどうなのでしょうか。賭博の存在を知っていながら看過したのは、「うみ」を膿だと思っていても出し切る必要はないと考えていることと同義語ではないでしょうか。
 さらに言えば、膿を告発することが許されない雰囲気が協会に内在していたことが最大の問題です。関係者が賭博を見てみぬふりをしたのも賭博告発の見返りを恐れてのことではないでしょうか。
 この意識がある限り、膿を出し切ったことにはならないはずです。協会トップが言う「うみ」とは何をさすのか、知りたいですね。それによって協会に自浄作用があるかどうか分かるはずです。(閑)

2010年06月08日

ソフトクリーム

 1300.jpg 1997年7月、境港市竹内団地で「山陰・夢みなと博覧会」が開幕したばかりでした。メーンパビリオンの環日本海交流村を派手な服装の男性が歩いています。「誰だろう」と同僚記者とともに近づくと、何と鳩山首相でした(もうすぐ前首相ですが)。当時は民主党を結成し、菅新首相と共同代表を務めていたころです。館内は飲食禁止なのに、ソフトクリームを食べながら観覧していたのが印象的でした。中曽根元首相に「ソフトクリーム」とその政治姿勢を揶揄されたのは、ずっと後でしたが。
 いよいよ「脱小沢」などと形容される菅新内閣の発足です。どんな、展開になるのでしょうか。自民党の石破政調会長(鳥取1区)がブログでこんな風に書いています。「仙谷官房長官、枝野幹事長という布陣には相当の強い意思が感じられます。この二人は只者ではない」(理)

2010年06月04日

パーフェクトな人間はいない

0002.JPG 米大リーグの大誤審事件はご存知でしょうか。2日のインデアンス戦で9回2死までパーフェクトに抑えていたタイガースのガララーガ投手が、1塁塁審の誤審で完全試合を逃した珍事件です。誤審と書きましたが、一塁塁審は試合後にビデオを見て誤審だと認めたものの、判定は覆らず、記録上は完封試合になりました。
 当然、世論はこの塁審を許しません。報道によると、インターネット上で誹謗中傷が飛び交い、翌日の試合では主審を務めたこの審判に対し、球場はやじとブーイングで満ちあふれたそうです。
 そこでタイガースの監督が粋な計らいを見せました。通常は試合前に監督がするメンバー表の交換をガララーガ投手にさせたのです。同投手はホームベース付近でこの審判とがっちり和解の握手を交わし、メンバー表を手渡しました。スポーツマンシップあふれるこの態度に審判は人目もはばからず号泣し、スタンドのやじは大きな拍手と声援に変わったそうです。
 ガララーガ投手はこんなコメントを残しました。 「誰も完全(パーフェクト)な人間はいないよ」
 パーフェクトゲームに引っ掛けた彼のウイットとさわやかさに周囲は感激し、タイガースの地元デトロイトに本社を構える自動車メーカーのGMはガララーガ投手に1490万円のスポーツカーをプレゼントしました。ホワイトハウスの記者会見でも「大統領令で救済しないのか」というジョークに対し、報道官が「大統領に米政府の公式見解を聞かれたら<完全試合の栄誉を与えるべきだ>と答えるよ」と切り返しました。また「誤審を誤審と認めるのは、政界にとってもいい教訓になるだろう」と言ったそうです。
 きょうは民主党代表選と首班指名がある予定ですが、どうも政局の醜さばかりが目立ち、終わってからも与党内や与野党で足の引っ張り合いに終始しそうです。そんなコップの中の嵐が、国民の政治離れを招いているのですが、当事者たちはわからないようです。一方、誤審で始まった大リーグの事件ですが、この事件はきっと大リーグのファンを増やすでしょう。
 社会は不慮の出来事や急変時に断面を明らかにします。その断面を見てその社会が魅力的なのか、くだらないのか、人々は判断します。政治の社会はいま、断面をわれわれに見せていますが、それは政治離れを呼ぶ醜さしかたたえていません。願わくば新しいリーダーは28歳の大リーグ投手が見せた素晴らしさを見習ってほしいと思います。(理)

2010年06月02日

マニフェストの表紙

11112.JPG 2日の編集制作局は朝からフル回転でした。鳩山首相、小沢幹事長の辞任です。予期せぬ「小鳩崩壊」に号外の段取りや取材の手配、予定の大幅変更など大わらわでした。
 指折り数えてみましょう。安倍さん、福田さん、麻生さん、鳩山さん。これで一年程度の政権が4代続いたことになります。私が子どものころは総理大臣といえば佐藤さんでした。ずっと佐藤さんでした。佐藤さんが変わった時、ああ、これが、首相が代わるということなのだなと実感したものです。今ごろの子どもは、総理大臣の任期は1年だと思うのではないでしょうか。
 きょうの内政面に秀逸なエピソードが掲載されています。1日に民主党マニフェストの見本が完成し、党本部に広告代理店から届けられたのですが、表紙は白紙だったそうです。まるで、鳩山辞任を暗示していたかのようですね。いま、2日午後6時半ですが、この時点で表紙の顔は菅さんが最有力です。(閑)
 

疑念

11112.JPG 
 「いま、おっしゃったことが本当にできるのか」。全国町村議会議長会が先日開いた研修会で「地域主権」の必要性を説いた内閣総理大臣補佐官に対する出席者の疑問の声です。「誰か偉い人が『それは駄目だ』と言えば駄目になるのでは」と民主党の〝体質〟を疑問視した言葉に拍手が起こっていました。
 鳩山首相の退陣、小沢幹事長の辞任は果たして支持率が低下した民主党政権の再生につながるのでしょうか。一括交付金化をはじめとする地域主権の確立は政権が信頼され、安定してこそ。さもないと、地方の疑念は深まるばかり。(風)