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駅とまちづくり…こだわる理由

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駅北開発はどうなるのか
 13日の民主党大会を前に、党内が緊迫している。菅首相ら執行部と小沢グループによる対立は日を追って激しさを増している。大会前日の両院議員総会、さらには内閣改造、通常国会召集、小沢氏の政倫審出席と強制起訴。政局は先が読めない状況だ。一方、昨晩から携帯電話が鳴る。聞けば、県議が理事長を務める倉吉市内の社会福祉法人の問題。こちらも春の統一地方選を前に緊迫している。
 「あれはあれでいいんじゃないですか」と中部本社の記者。前回、ベールを脱いだ新倉吉駅のことを書いたが、やはり評価はさまざまのようだ。鉄道好きだけに思いが強いのだが、駅周辺整備はこれからの倉吉のまちづくりにも大きく影響する。これまでの取り組みも含め、一回整理しておきたい。
 まず、倉吉駅には他にない大きな特徴がある。鳥取でも米子でも、泊でも八橋でもそうだが、通常市街地は駅の北側に広がっている。ところが、倉吉だけが駅南に街が形成されている。よって、倉吉市にとってはいかに駅北側を開発するかが、まちづくりのキーワードになっていた。
 河北地区の区画整理事業に伴い、大型量販店が国道9号に近い旧羽合町に隣接する地域に進出。車社会の到来など時代の流れとともに、倉吉の中心部は北側に移行していく。これに伴い、成徳、明倫地区などかつての商店街はシャッターが目立つようになる。一方、駅北側は民家が密集し道路も狭く区画整理から取り残されていた。そこで駅北整備への取り組みが始まる。
 行政や経済界などはかなり前から、倉吉の発展には駅北の整備が不可欠と認識していた。国道9号と直結する道路の整備など、いかに早く山陰道までつなぐか。青年経済人らは市発展のグランドデザインを描くなど、早くから議論してきた。ところが、行政側との歯車がなかなかかみ合わない。
 一方、市選出の県議は東伯郡選出の大物県議をかついで、県議会に倉吉駅周辺整備の特別委を設置。単に駅周辺のみならず、中部全体の振興策に取り組む狙いだった。倉吉駅は倉吉のみならず、中部や温泉郷の玄関口との認識は多くの人が持っていた。
 その後、駅の橋上化と自由通路の整備など駅北開発の計画が練り上がったのだが、一つ欠けていることがあった。ここまで議論され、市民の悲願であったのに、この整備計画が市民の中で共有されていなかったことだ。だから、期待感が出てこない。
 実は私自身もどんな絵が描かれるのか、いまだよく分かっていない。もちろん、こういう仕事をしているから、水面下の話やそれに関する意見の衝突などは耳にしていた。しかし、倉吉の駅周辺がこんなに変わるんだよと人に説明できなかった。ある時、市内の著名人が今度の駅にはエスカレーターがつかないそうだ、と言う。橋上化やバリアフリーなどを考えてもさすがにそれはないと言ったが、市役所をよく知る人でもその程度の認識だった。
 石田市長は奥ゆかしい性格だが、もっとアピールしてもよい。倉吉100年の計だ。大看板を作ったり、駅周辺整備に伴う事業イベントなどを次々展開し、市民に中部の住民に期待感をもたせてもらいたい。発信していくというのも行政の重要な要素だ。その中でまちづくりにどう生かしていくかなど意識の共有化も図られる。
 駅はシンボリックなものだと考えている。映画の題材にもなるが、まちの将来像を考える大きなポイントになる。外から倉吉に来た人をどう迎えるか、その意味ではもてなしの最前線だ。旅行をしていても駅に降り、そこで観光地への行き方を聞いた際、丁寧に答えてもらったら、その町が本当に好きになる。場合によっては、もう一度来てみたいと思いながら帰りの列車に乗る。
 さらに、駅はコミュニティースペースでもある。地域の人たちが駅で待ち合わせをしたり、お年寄りが待合室で談笑したり、都会から帰ってきた息子を迎えたり、元気で頑張れよと送り出したり。あったかいものを感じる。かつて待合室の座布団を作ったり、人知れず花瓶の花を換えているおばあさんの取材をしたことがある。無人駅は寂しいが、その中でも駅を大切にしたいという気持ちが伝わってきた。
 その点では、利用者や地域の人たちが作り上げていくのが駅と言っていいのかもしれない。建物ができて竣工式をしてお終いではなく、それを地域のためにどう生かしていくかをみんなで考える。新しい倉吉駅は市民に大きなテーマを投げ掛けている。(鵜)