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神保町とマイブーム

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神保町の古書街
 通勤する地下鉄の半蔵門線に神保町駅がある。ここ神田・神保町は古書街で知られ、170余りの古書店がある。小さな路地を入ると、落ち着いた喫茶店があり、くつろいだ雰囲気の中、本を読む人も。近くに大学があることもあり学生が多いのだが、文化人を気取った人やベレー帽をかぶった女性らも。ユニークな街でもある。
 本は集中的に読むタイプだ。1冊読んだ後、その関連本などを買って読んでいる。現在のマイブームは「政治本」や「小沢本」。国会などで本人を見ることから親近感も。なかでも、舞台裏を描いた暴露本的なものが好きで、引き込まれ一気に読んでしまう。
 永田町で話題の本といえば、元首相の海部俊樹氏が書いた『政治とカネ―海部俊樹回想録』(新潮新書)。帯には「この話、墓場まで持っていくのはやめた」とある。昨年11月20日の発行だが、重版で年末段階で6刷。海部氏といえばクリーンが売り物、首相退任後は自民党を離党したが再び自民党に帰るなどしたこともあり、政治家としての重みを感じなかったが、結構骨太である。河本派、三木派と弱小派閥にあって一国のトップに上り詰めた、そこには信念に基づいた行動があったようだ。キーワードはやはり、当時党内を仕切っていた小沢一郎幹事長との関係。有名な「みこしは軽くてパーなヤツがいい」は、本当に言ったのかと本人にただしたそうだ。3度の確執、ついには決別するのだが、「壊し屋とかかわるのはほとほと疲れる」と吐露。一昨年の政権交代選挙で初めて敗れ、政界を引退。青年海外協力隊の創設や文科大臣としての教育改革など、若き日の志は熱いものがあった。
 いま、民主党政権の1年半を検証する本が相次いで出版されている。混迷ぶりと政治の劣化を見せつけられたが、最近では内ゲバの様相を呈している。小沢グループと反・脱小沢派との対立の図式が生まれているが、そこに至る経緯を知るには『陰の総理・仙谷由人VS小沢一郎』(大下英治著、徳間文庫)が分かりやすい。大下氏の特徴の臨場感ある文体で、読んでいて面白い。興味深かったのは「陰の総理」と言われた仙谷氏の若きころ。東大在学中の学生運動、弁護士活動、社会党からの出馬など、これまでクローズアップされてこなかった部分がかつての同志らの声を交えて浮かび上がる。その後、権力の中枢にどのようにはい上がっていったのか、面倒見の良さなどイメージとは違った一面も。そして小沢氏との対立だ。党内で絶対的権力者だった小沢氏への対立軸を示した政治家としての腹の据わった部分、仙谷氏あっての菅政権だったことが分かる。出版延期、延期の末、ついに出た本で、問責決議での辞任からポスト菅をめぐる火花まで収めている。
 一方、この20数年間、日本の政治のど真ん中にいたのは小沢氏であったことは事実だ。「小沢的なもの」とは何なのか、小沢一郎研究の本も多々あるが、元共同通信編集局長で民放のキャスターを務めた後藤謙次氏の『小沢一郎 50の謎を解く』(文春新書)をお薦めしたい。後藤氏といえば番記者として竹下派(経政会)に食い込んだ人物。かつて野中広務元自民党幹事長の講演を聞いたが、後藤氏のことを「竹下邸の冷蔵庫の中身まで知っていた」と話していた。この本の特徴は、「数の論理」「猜疑心」「憎しみと愛」など5つのキーワード別に50の謎、例えば「辞任カード」のタイミング、「大連立くすぶる火種」、老人キラーの必殺技―などを挙げ、それに対して後藤氏が解説を加えている点だ。元記者だけあって、言葉の使い方のうまさに感心すると同時に、かつて身近にいた記者として、いまの小沢氏に説明責任などを呼び掛ける。最大派閥の田中派―竹下派、さらには小沢氏へとつながる系譜の中で、小沢氏の果たした役割、志向、強さと弱さが分かる。剛腕の光と影に迫った一冊で、残していたメモに基づく取材力にも驚かされる。
 その流れの中でいま、『田中角栄の昭和』(保阪正康著、朝日新書)を読んでいる。(鵜)

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