2017年1月11日

76年ぶり除夜告げる 観音院、供出の鐘、念願の復活

 国の名勝の庭園が名高い鳥取市上町の観音院(中村彰恵住職)に、釣り鐘がよみがえった。太平洋戦争中(1941年)に供出され、釣り鐘がない状態が続いていた。昨年の大みそかに参拝客らに初突きを体験してもらい、76年ぶりに除夜の鐘の音が響き渡った。

 約400戸の檀家(だんか)で組織する同院護持会(森泰章会長)は2008年から山門や庭園の修復を計画し、山門は昨年春に着手。併せて釣り鐘も設置することにし、富山県高岡市の専門業者に製造発注していた。

 釣り鐘は直径63センチ、高さ114センチでスズと銅の合金製。修復した山門の上部に設置した。山門は昭和初期のものを再現することにし、ほとんど古材を使用。両側の塀も昔の写真を参考に造ったという。総工費は釣り鐘の300万円を含め約3750万円。4月頃に完成式を予定している。

 全国の天台宗宗議会副議長を務める中村住職(72)は「毎年8月4日に各寺院で鐘を突く『世界平和の鐘』にようやく参加できる。念願がかないうれしい」と話し、森会長(73)も「名勝・観音院庭園にふさわしい再現、修復で感無量。多くの檀家や寄進者の協力に感謝したい」と喜んでいる。

 同院は、岡山藩池田家の国替えに伴い鳥取に移り、元禄年間(1688~704年)に現在地に建立されたと考えられている。庭園もこのころ造られたとされる。京都の二条城二の丸庭園(現・特別名勝)より2年早い1937年に国の名勝に指定され、江戸時代の代表的な庭園として知られている。(前嶋英雄)