2017年2月17日

ハウス倒壊 農家悲鳴 入荷減、食卓に影響も

 10~12日の記録的な大雪の雪解けが進む鳥取県内で、ビニールハウスの倒壊など農業被害が少しずつ明らかになり、被災した農家から「収入を失う」と悲鳴が上がっている。出荷の遅れが予想され、家庭の食卓にも影響を及ぼしそうだ。

 ハウスは雪の重みで骨組みがひしゃげ、押しつぶされた。露地野菜の白ネギは分厚い雪に覆われたままで、掘り起こすこともできない。

 16日朝、鳥取市国府町山根の古屋裕司さん(44)は、雪をかき分けて同町清水の畑にたどり着き、現状を確認した。ハウス内には今季初めて栽培に挑むアスパラガスの苗が並ぶ。「出荷を楽しみにしていたのに…」と声を落とす。

 農業や田舎暮らしに魅せられ、5年前に大阪市からIターンした。ハウスの修復費まで工面するのは難しい。白ネギの収穫も見通せない。「収入がストップしかねず、今後の生活のやりくりもどうなるか…」

■支援策検討

 JA鳥取いなばによると、雪が解けだしてから被害報告が相次ぐ。水分を含んだ雪が重みを増し、ハウスの倒壊につながっている。被害品目はホウレンソウやイチゴ、キュウリなど。農業共済に加入していない被災農家も多い。農道の除雪が進んでいないため、全容の確認にはまだ時間がかかる見込みだ。

 県中部も被害が深刻化している。北栄町田井の石田克美さん(64)のブドウハウスは、31棟のうち30棟がつぶれ、残り1棟も傾くという全滅状態。パイプがことごとく倒れ、雪がかぶさったシートがハウス内に落ちた。

 それでも石田さんは「ショックでしばらく落ち込んだが、こればかりはどうしようもない。ブドウの一部を品種転換しながら、現在の規模を何とか維持できるようにやってみたい」と前を向く。

 1月下旬の大雪被害と合わせ、県が16日午後2時現在でまとめた農業被害額は約9200万円に膨らんだ。ハウスの倒壊は489棟、約11万平方メートルに上る。同JAの薮根彰人営農指導センター長(52)は「行政と連携して支援策を検討したい」と話す。

■高騰の懸念

 小売店への影響は今のところ少ないが、鳥取市内の多くの店長が取材に「これから入荷が減り、店頭価格も高騰するだろう」と口をそろえる。

 エスマート(本部・鳥取市)では、葉物野菜が通常より1割近く値上がりした。担当者は「白ネギやブロッコリーの入荷減も予想される。できるだけ地元の野菜をそろえたいが、数が入るかどうか」と不安を漏らす。

(田村彰彦、高取正人)