2017年10月3日

サラリーマンの余生はいかに 鳥取の元高校教諭が出版

 鳥取市美萩野2丁目の元高校教諭、若木剛さん(77)が、小説「凡なるかな人生」を出版した。若木さんは「伊守魚(いもりうお)」というペンネームでこれまで、「二〇一一年 光生の夏」、「2015年サラリーマン梶哲也のありふれた春」を出版し、日本社会で最もポピュラーな勤労形態である「サラリーマン」を描いてきた。3作目の今作品は完結編で、定年退職後の男の余生や彼を取り巻く人たちの生き方を描いた。

 1作目の「二〇一一年 光生の夏」は東日本大震災直後に書いた。70歳を過ぎてから生まれ故郷の鳥取市に移り住んだ1人暮らしの元サラリーマン・光生の日常を回想シーンを織り交ぜながらつづり、2作目は広告代理店に勤める梶哲也のサラリーマンの日々を描き、現代に生きる平凡な日本人の人生観を探った。

 光生は原因不明の自律神経失調症を患い、元気に飛び回って趣味に興じることもできない。母の介護で会社を辞め、母が亡くなってからは光生に昼食を届け続ける“みのり”の存在、そして、梶哲也など、生き方の違う登場人物から目が離せない。

 若木さんも光生と同様の病に侵されているだけに、他人からは見えない症状の描写は真に迫る。が、自身がモデルではなく、登場人物はすべてフィクションという。

 若木さんは「現役時代にさまざまな生き方をしてきても時がくれば皆同じ。凡なるかな人生だ」とあとがきに寄せている。(吉浦雅子)