![]() |
|
ザ・論点 GWに「憲法」「子ども」を考えた
2013/05/08の紙面より
新日本海新聞社代表取締役社主兼社長 吉岡 利固
ゴールデンウイークが終わった。アベノミクスによる好況感と好天に恵まれ、各地は多くの人出でにぎわった。ところが、3日の「憲法記念日」と5日の「こどもの日」について、じっくり考える人は少ない。今回はまず、この二つのキーワードから始めたい。 国民投票可決は疑問「日本を取り戻す」をスローガンにする安倍総理主導の改憲論議が盛んだ。まず現行96条(改憲には、総議員の3分の2以上賛成による国民投票実施で、その有効得票の2分の1以上の賛成が必要)の改定を目指し、その後に本格的改憲作業に向かおうという手順だ。しかし、考えてもみてほしい。戦後の日本は現行憲法第9条のおかげで、「日本は軍事力を持たない」ことが国際的に認知され、すべての国力を経済発展へ傾注できた。防衛力、経済力を含めすべて米国の傘の下で発展を遂げてきたわが国が、簡単に自前で再軍備を目指してよいのだろうか? 結論的には、今夏の参院選でも自民党の勝利は確実で、議員決議を経て、改憲の国民投票実施までは持っていけるだろう。が、そこで否決されると私はみる。国民のバランス感覚を、政治家が見くびってはいけない。 知識あって教育なし次に子どもだ。現代の若者が育ってきた社会環境をみていると「知識は与えても、教育を施していない」と痛感する。富裕層を中心に、受験戦争に勝ち抜く詰め込み学習にたけても、肝心の人間としての社会性や忍耐力といった基礎教育が全くできていない。スマートフォンを使ったゲームは上手でも、実際のコミュニケーション能力や思いやりの心の発育などが未熟だ。だから今の日本は、若者の力が十分に発揮できていない。これでは、若者の積極性という点からも、韓国や中国、インドなどのアジア各国に勝てるはずがない。 円安は米好況の結果アベノミクスによる経済発展は、いよいよ最終章の成長戦略段階に入った。しかし、その内容たるや「子育て女性の活用とiPS細胞など先端科学の実用化」とは、いささかお粗末。どちらも今更強調するまでもない。今の円安株高の進行が「安倍総理の積極財政施策のおかげ」と思っているところに勘違いがある。円安ドル高は米国の経済復調の結果で、シェールオイルの開発本格化に伴いさらに進む可能性がある。現在、円を売って日本株の買いに走っている外国人投資家が、一気に売り抜けたら日本株は大きく下がる危険性を今から覚悟しておいた方がよい。 危うい国債大量発行そう考えると、国債を大量発行して、それを日銀が買い支え、市中にジャブジャブ金をばらまく政策の危うさが見えてくる。つい数カ月前まで、「国債暴落阻止へ、財政規律の確立を」と叫んでいた財務官僚はどこへ消えたのか? 増発した国債で公共事業を大量発注しても、日本の景気回復には寄与しない。やるべきは老朽化した道路や橋の維持補修、既存施設の耐震補強などで、不必要な新たな箱モノを作ることではない。麻生政権末期に散々批判され、政権の座を追われる結果となった旧来の自民党の政治手法は何も変わっていない。変わったのは、取って代わるべき責任野党が、民主党のちょう落でまったく見当たらなくなった点だ。国政進出してメッキのはげた維新の会は、既に限界が見えている。おかげで自民党政権は当分続く。 昨年の日本の総人口は28万人も減少した。少子高齢化は加速し、今年は30万人減が見込まれている。内需の拡大は当分見込めない。安倍政権の景気対策が、来春の消費税引き上げ以降にバブルと化して弾けると、その時こそ辛酸をなめる覚悟がわれわれに必要となってくる。 (新日本海新聞社社主兼社長)
|
| トップページ | ローカルニュース | 連載・特集 | コラム | 論説 | イベント案内 | 日本海クラブ | サイトマップ | ||
| 当サイトの著作権について
本ページ内に掲載の記事・写真など一切の無断転載を禁じます。すべての記事・写真の著作権は新日本海新聞社に帰属します。 ネットワーク上の著作権について(日本新聞協会) |