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2016.6.24

鳥取で有機栽培推進に情熱
平木ひとみさん(59)

 
  土壌や水などの環境問題が深刻化する中、環境にやさしい農業への期待が高まっている。鳥取市内で有機栽培に取り組みながら、有機生産者グループ代表として奮闘する女性を訪ねた。

全国で初めて開発した土寄せ除草機を使う平木さん。条間の土が両側に寄せられ、雑草が土中に消えていく
「環境保全型農業推進コンクール」優秀賞の賞状を手に、喜びを新たにする平木さん(前列右端)と鳥取ずいせん生産組合のメンバー

全国初の除草法

 むせるような梅雨空に除草機の軽快な音が響く。鳥取市長柄の水田。県の農業士、平木ひとみさん(59)=同市晩稲=が除草作業に黙々と汗を流す。

 「これがオニビエよ」。ぽーんと道路に放り出した。水田の中を見ると、青々と成長したナギがびっしり生えているが、土寄せ除草機が条間の土を両脇に寄せ、雑草が見る見る土中に消えていく。

 土寄せ除草機は、平木さんが三朝町の農機具メーカーと協力して5年がかりで開発した。溝切り機に条間3条を一度に土寄せできる付属部品を取り付けたもので、特許も取得した。全国初の除草法として注目されており、県農業試験場も栽培試験を行う。

 田の手入れで最も手の掛かるのが草取りだ。有機栽培は除草剤を散布しない分、手入れは何倍も時間と労力が掛かるが、この除草機なら女性でも楽々と作業できる。

 「腰をかがめて手取り除草をしていて腰を痛めました。そんな農業は誰も嫌。食べる人の喜んだ顔を思い浮かべながら、楽しい思いで作りたい」。平木さんが除草法開発の思いを語る。

自然順応が極意  平木さんは、農家に嫁いだ農業未経験の主婦。26年前、義父ががんで亡くなり、家族の健康を守ろうと自宅の田畑で有機栽培を始めた。義母を先生に試行錯誤の連続だったが、持ち前のバイタリティーで克服してきた。

 現在、市内にある40アールの水田と15アールの畑でJAS法に基づく有機農産物(有機JAS)の認定を受けてコメと野菜の栽培に取り組む。このほか、40アールの水田は鳥取県特別栽培の認証を受けている。

 平木さんの水田には、オタマジャクシが数多く生息し、カブトエビや豊年エビも発生する。クモの巣もびっしりかかる。多くの生命が活動する姿を見て、見学に訪れた誰もが驚く。

 「豊かな環境が維持されている証しでしょう。土壌は微生物が豊富に生息するとろとろ層が分厚く形成されています。農薬を使っていたら、こういう環境は生まれません」と環境保全の重要性を訴える。

 平木さんが最も心掛けるのが自然順応だという。少々の雑草とも共生する。「自然の姿をよく観察して、作物が丈夫に育つためのお手伝いをするだけ。自然の中でストレスなく育った農産物が人の血肉になり、心も育ててくれます」。順調に生育する稲を見ると、これが健全な農作物を育てる極意だと感じる。

組合が局長賞

 「まず家族に安全な食卓を」の思いから始まった平木さんの有機栽培。さらに発展し、「有機農産物を多くの人に食べてもらおう」と、1992年に県東部の農業者に呼び掛けて有機生産組合を設立する。「鳥取ずいせん生産組合」だ。現在、9人が3ヘクタールで野菜やコメを栽培する。

 山陰のスーパー8店舗に出荷するほか、全国のバイヤーからの注文も舞い込む。地元の小学校や幼稚園の給食にも食材を提供し、食育にも積極的に関わる。需要は増加する一方だが、供給が間に合わずうれしい悲鳴を上げる。

 「ずいせん」ブランドの農産物は、野菜本来の甘みが感じられるので、野菜の苦手な子どもも食べられる。「おいしい」と求めるファンが増えている。

 長年の取り組みが評価され、本年度の「環境保全型農業推進コンクール」(農林水産省主催)で中国四国農政局長賞(優秀賞)を受賞した。

 自ら農業に取り組み、組合代表としても日々奔走する平木さん。「若い人たちにどんどん有機栽培を目指してほしい。組合はそのための受け皿となって、農業技術を伝え、販売も担っていきたい」と情熱を燃やす。地域の環境と安全な食を守る決意は固い。

県が環境にやさしい農業推進

  鳥取県は農産物の有機・特別栽培など環境にやさしい農業を推進している。2018年度までに1500ヘクタールまで広げる目標を掲げ、取り組みを強化している。

 有機栽培は農薬や化学肥料を使わない栽培方法で、有機農産物を名乗るには第三者機関の認証を得ることが条件。鳥取県では県が認定機関となり、15年度は26件、45ヘクタール(水稲21ヘクタール、野菜等24ヘクタール)で取り組まれた。

 一方、特別栽培は国のガイドラインを参考に、県が農薬や肥料の数を絞り込むなど独自の基準を設けて認定。継続が前提の有機栽培とは異なり、1年ごとに更新できるほか、手続きが簡素なこともあり右肩上がりで増加。15年度は244団体が認定を受け、1333ヘクタールで取り組まれた。

 コメや野菜を中心に活用が増えていたが、ここ数年は栽培面積の伸びが鈍化。県生産振興課は「日本の農産物は安全という認識が広がり、差別化が難しくなってきたのが一因」と分析し、制度の周知に力を入れる考えだ。
トップが語る環境問題

緑の変化を感じて

森林公園 とっとり出合いの森
(鳥取市桂見)
施設責任者 谷尾 喜三

 多くの方々に楽しんでもらおうと、四つの森林浴散策モデルコースを設けています。安全に散策できるようにコースの整備や点検には万全を期しています。

 さらにフェイスブックで、四季折々に表情を変える園内の花や草木の画像を発信しているので、「この花が咲くころになったな」と感じてもらえるのではないでしょうか。夏休みは、クワガタムシなども出てきます。昆虫や鳥などの生き物や自然と出合って、緑の変化を感じてもらいたいと願っています。

ウォッチ地球環境

負のフィードバック

グリーンランドの氷床。雪解け水が氷床を削って流れ落ちている(アメリカ航空宇宙局ホームページより転載)
 グリーンランドの氷床が例年より1カ月半以上早く融解を始め、これまでの最速2010年5月5日と比べても1カ月も早い融解シーズン入りだったとデンマーク気象庁が発表しました。

 世界の気候学者はこの現象を、温暖化で氷床面積が減り、暗くなった地表面が太陽エネルギーを蓄積することでさらに温暖化し、氷床融解が加速する負のフィードバックによるものだと受け止めています。

 全て解けると7メートルの海面上昇に及ぶグリーンランド氷床ですが、地球の海洋循環の速度や北極点と自転軸の移動に影響を与えるなど、その影響は計り知れません。

 これは、私たちの暮らす地域に起こるさまざまな異常気象による被害と無関係ではなく、社会や自然生態系の現在と未来に大きな影を落としています。

 原因は、私たちの社会が浪費し続ける化石燃料であることはすでに明白で、科学的に考えるのであれば当然危機感を持ち対策を取るべき私たち共通の問題なのです。

 (鳥取県地球温暖化防止活動推進センター、山本ルリコ)
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