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vol105温暖化対策にどう取り組む 2017/01/30
 
vol.105 温暖化対策にどう取り組む


2017.1.30
 
 地球温暖化対策の新しい国際枠組み「パリ協定」が発効した。病んだ地球を再生するため、対策は待ったなしだ。身近な生活の中でどう実践し、未来を切り開けばいいのだろう。鳥取県内で温暖化対策の最前線に立つ県生活環境部長の広田一恭さんと、女性起業家として環境に配慮した製品開発に取り組むブリリアントアソシエイツ(鳥取市)社長の福嶋登美子さんに、「温暖化対策にどう取り組む」をテーマに語り合ってもらった。

ビーツ栽培とエコな観光 福嶋さん
緩やかなエネ革命を促進 広田さん

環境対談
◇出席者◇
福嶋登美子さん (ブリリアントアソシエイツ社長)
広田 一恭さん (鳥取県生活環境部長)
鳥取ガスのメガソーラー「東郷太陽光発電所」。鳥取県は再生可能エネルギーの導入を促進している=鳥取市西今在家
 
ふくしま・とみこ 鳥取市生まれ。2004年、ブリリアントアソシエイツ創業。ピンク醤油(しょうゆ)、ピンク華麗(カレー)などの華貴婦人シリーズ

 ひろた・かずやす 倉吉市生まれ。1986年、鳥取県入庁。環境立県推進課長、生活環境部次長等を歴任後、2016年4月より現職。


 −最近の気候をどう感じますか。

 福嶋 今年も雪のない穏やかな正月でしたので、このところの記録的な大雪には驚きました。

 広田 気象庁によると、豪雪は温暖化と無関係ではないようで、ゲリラ豪雨と同様に大気中の水蒸気の増加などの理由で、現在よりも豪雪が高頻度に現れるという予測もあるようです。

 福嶋 近年は暖冬傾向でありがたいですが、四季の移ろいが薄れた感じがします。また、海の幸も漁獲が減って高騰しており、温暖化の影響だろうかと心配しています。

 広田 昨年の日本の平均気温は過去最高でした。この100年で見ると、鳥取市で1・8度、米子市では2・3度も上がっているとのことです。

 こうした温暖化の影響が海面上昇や熱波、洪水などの形で姿を現しつつあります。日本では取れる魚種が変わり、昆虫も北上していると聞きます。鳥取でも突然の集中豪雨に見舞われますが、日々の気象や自然環境が変だなと感じられます。

 パリ協定はこうした深刻な危機感を背景に地球温暖化を食い止めようと、世界のほぼすべての国が立ち上がって生まれました。

 福嶋 未来の地球を守る画期的な仕組みですね。

 広田 日本は2030年の温室効果ガス排出量を、13年比で26%(家庭部門は40%)削減する目標を掲げています。鳥取県でも国を上回る26・9%の削減を目指しています。

■全国でピンク旋風

 −企業の取り組みが期待されます。

 福嶋 女性視点のものづくり、鳥取ブランド確立をテーマに商品を開発してきました。その中で生まれたのがピンクにこだわった商品です。ピンク醤油(しょうゆ)が全国の地方新聞社が選んだ「こんなのあるんだ!大賞」商品部門で、全国約3万5千点の中から最優秀賞に選ばれました。驚くような反響があり、国内はもとより世界に販路を広げています。

 このピンクのもとは、鳥取県産の赤ビーツでできています。鳥取の自然豊かな環境と土壌があればこそ生まれた商品だと思っています。

 広田 ピンク華麗(カレー)もピンク華麗うどんもいただきましたが、華やかな彩りで本当に驚きました。おしゃれで、食卓が楽しくなります。味もとてもおいしいですね。

 福嶋 ビーツはなじみのなかった野菜ですが、鳥取の気候にもよく合い年3回も収穫できます。全国的にビーツブームが起こっており、その火付け役になったようです。新たな加工品も計画していますし、需要増が見込まれます。

 広田 鳥取の一つの大きな資源が、豊かな自然環境ですよね。この環境を県民自ら大事にする素地があって、ピンク華麗につながったのでしょう。

 福嶋 海外では環境保全型農業への意識が高く、評価もされています。鳥取の環境を守る意味でも、ビーツの有機栽培に挑戦したいですね。

 広田 環境にやさしい農業を進め、農林水産業を活性化することは温暖化対策でも有効です。鳥取の環境を守る農業の旗手としても期待しています。この他にも、環境に配慮した取り組みをされていますね。

 福嶋 二酸化炭素(CO2)の排出量を森林整備などの削減活動で相殺する「カーボンオフセット」の取り組みを進め、電気自動車の充電設備を鳥取市賀露町の飲食店駐車場に設けました。フランス製の三輪自転車タクシー(シクロポリタン)も導入し、エコな観光にも取り組んでいます。

 広田 県外の観光客もたくさん鳥取を訪れます。ピンク華麗を食べているうちに電気自動車を充電し、ドライブして豊かな自然を満喫−。そんな環境をアピールする観光モデルが生まれそうですね。

 福嶋 公立鳥取環境大学もありますし、鳥取県はこれからますます環境先進県として期待されます。企業側へのアドバイスをお願いします。

 広田 多くの企業がコスト削減も兼ねて省エネに取り組んでいますが、さらに強化するには省エネ診断が有効です。何が一番効率的か、専門家が指摘してくれます。

 さらに、鳥取県版環境管理システム(テス)があります。少ない費用と労力で登録でき、中小規模の組織でも手軽に始めることができます。企業にとって大きなプラスになります。

■省エネ家電お勧め

 −家庭での取り組みも求められます。

 福嶋 庭に堆肥ボックスを置き、生ごみを堆肥にしています。堆肥を植木に施すと、生き生きと元気になりますよ。また、買い物にマイバッグを持参したり、雑誌や古紙を分別して資源化したりするなどごみを出さないよう努めています。

 広田 県内では家庭から出るごみの約45%が生ごみで占められます。焼却すると多量のCO2を排出するので、ごみの減量やリサイクルはとても望ましい取り組みです。ごみのダイエット作戦が広がってほしいですね。

 福嶋 かわいい省エネでしょうが、不用の家電製品のコンセントを抜いています。省エネタイプの家電製品も欲しいのですが。

 広田 待機電力は、家庭の電力消費の6%を占めるとされます。こまめに主電源を切ったり、プラグを抜いたりすることは大事です。白熱電球をLEDに替えることで、消費電力が85%減り、ランプの寿命も40倍に延びるといわれます。

 環境に良い取り組みは我慢が要ると思われがちですが、現在は技術が進歩しているので長い目で見るとお得です。省エネ型の「五つ星」の家電製品はお勧めです。

 福嶋 一主婦としては、買い替えには、ついついちゅうちょもします。

 広田 お金を掛けなくても、シャワーを出し放しにしないでこまめに止めたり、いつもより1分短縮したりすることでも省エネ効果は大きいです。

 お金は掛かりますが、窓の二重サッシや、家屋の断熱リフォームは特に有効です。少し暖房するだけで暖かくなりますし、特に高齢者は冬季のヒートショック事故の危険が低下します。

■「星取県」で発信も

 −行政はどんな取り組みを。

 広田 再生可能エネルギーの導入に力を入れています。現在、県内の再生可能エネルギーの電源構成比(電力自給率)が約32%を占めています。全国レベルが12〜13%ですから、非常に高い割合を誇っています。

 鳥取県は森林が多いので、間伐材を活用する木質バイオマス発電に期待しています。今月から三洋製紙(鳥取市)が稼働を始めました。最大で一般家庭3万5千世帯分の電力使用量に相当する発電量を見込んでおり、電力自給率はよりアップします。今後も再生可能エネルギー導入を進め、“緩やかなエネルギー革命”を市町村と連携しながら促進したい。

 福嶋 頼もしい取り組みです。鳥取の売りになります。

 広田 自然環境が豊かな地域だからこそ環境にやさしいエネルギーの導入を進めて、環境をアピールする地域づくりを目指したいですね。

 福嶋 県外の知人が驚いていました。「星がこんなにきれいに見えるのは、本当に幸せだよ」と。普段当たり前に思っている景色に感動する姿を見て、こちらも感動しました。豊かな環境と再生可能エネルギーをセットにして、鳥取らしさをPRできます。

 広田 鳥取県は現在「蟹取(かにとり)県」を売りにしていますが、「星の見えやすさ」で全国1位になった鳥取県を、「星取県」として全国、世界に発信していけたらいいですね。

 第2期とっとり環境イニシアティブプランを着実に実践し、エネルギー問題もさることながら、県民や企業の省エネ実践を進め、引き続き温暖化防止のトップランナーとして走っていく覚悟です。

ミニクリップ
 パリ協定 米ロなど世界の190カ国以上が参加する新たな地球温暖化対策の国際枠組み。昨年11月に発効した。世界の温室効果ガスの排出量を今世紀後半に実質ゼロにし、産業革命前からの気温上昇幅を2度未満、できれば1・5度に抑えることを目指す。各国は対策を5年ごとに見直して強化する仕組み。日本は2030年に排出量を13年比26%、さらに50年に同80%削減を目指す。
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