(8)低温・高圧の世界研究へ


ガラス製容器の中に低圧力で生成させた摸擬MH

 前回の紙上セミナーで、日本海の海底には、泥層の中の“燃える氷山”とでも例えられそうな大きな表層型メタンハイドレート(MH)の塊が存在することと、それを天然ガス資源として回収するための検討も始まろうとしていることなどを紹介しました。

 日本海のMH研究が、従来の海洋の地質、環境などの基礎調査から、天然ガスを生産するための研究開発へと大きくかじが取られようとしている潮流を踏まえて、鳥取大MH科学コースでも、天然ガスを生産するための研究課題を人材育成活動の中に取り入れる必要があります。

 また、天然ガス生産に関わる環境影響評価の重要性から、同コースではすでに鳥取県水産試験場、明治大ガスハイドレート研究所などとの連携の下、海洋環境基礎調査に着手しています。今後この調査を環境影響評価へ反映させるためには、天然ガス生産方法に関わる研究との連携が重要となります。それは、想定する生産方法により、考慮すべき環境影響とその回避・低減対策は大きく異なるからです。両者は、車の両輪のような一体不可分の関係にあります。

 表層型MHから安全かつ経済的に天然ガスを生産する方法の研究では、MHが安定に存在できる条件が低温・高圧に限られることが支障となります。鳥取大MH科学コースでは、既に常温・低圧でも安定な模擬MHを利用した実験を開始しています。今後、低温・高圧で実物のMHを取り扱える研究設備を導入して、実践的な人材育成に活用したいと考えています。

 (鳥取大メタンハイドレート科学講座・海老沼孝郎)