(11)GHとしても特性利用へ


燃焼する人工メタンハイドレート

メタンハイドレートのもう一つの顔

 天然ガスの主成分であるメタンを高密度に含むメタンハイドレート(MH)は、“燃える氷”とも呼ばれ、新しい天然ガス資源として期待されています。MHは、氷や雪と全く区別できない外見ですが、その結晶構造は氷と異なり、水分子が形作る多面体構造の中にガス分子が1個ずつ閉じ込められた構造を持つガスハイドレート(GH)の一種です。

 MHは、在来形の石油や天然ガスの生産設備において、配管やパイプラインを閉塞(へいそく)させる厄介者として、1950年代ごろから研究されてきました。さらに、メタン以外のガスを包接するGHとしても、基礎的な性質とその工業利用技術については、MH資源開発より、はるかに長く研究開発が行われています。

 GHが高密度にガスを含有する特性はガス貯蔵・輸送に、混合ガスから選択的に二酸化炭素や硫化水素を取り込む特性はバイオガスなどのガス分離に、他の物質より溶けるときの吸熱量が大きい特性は蓄冷熱に、溶存成分を排斥(はいせき)しながら結晶成長する特性は食品産業などにおける凍結濃縮に、それぞれGHの機能活用技術として利用できます。

 鳥取大のMH科学講座では、鳥取県沖を含む日本海に主に分布する表層型MHの開発に携わる人材の育成に加えて、GHの工業利用の分野でも地元ニーズに少しでも役立てばと願っています。

 【鳥取大メタンハイドレート科学講座・海老沼孝郎】