自然豊かな鳥取県を支える森林。そこから切り出される木材が使用できる循環型社会の大切さを県民に知ってもらい、もっと使ってもらいたい。鳥取県産材活用協議会はその思いのもと、関係者が課題解決へ向けて活動する団体です。委員等に現状や取り組みへの思い、展望を座談会形式で語っていただきました。
2018年3月28日掲載


鳥取県産材活用協議会座談会

ふるさとの森林は今



山下卓治
鳥取県産材活用協議会 会長
(山下設計工房代表取締役)


霜村芳照
鳥取県産材活用協議会 副会長
(久本木材代表取締役)


前田幸己
鳥取県産材活用協議会 運営委員
(鳥取県森林組合連合会代表理事会長)


聲高昌可
鳥取県産材活用協議会 運営委員
(田中工業代表取締役会長)

■協議会について■

山下
 協議会は2001年に発足しました。木を植え、木を育て、木を使うことが水源涵養や県土保全、地球温暖化防止など生活環境にとって重要であることを県民に理解してもらう一つの方法として、鳥取県産材を使った住宅建築を進める県民運動や地域資源を再発見する運動を続けてきました。

 当時、地域の山が健全に潤い、県内の人工林の杉山が育ってきているにもかかわらず、川上・川下の連携のシステムが未整備で、市場でどのように活用するのか見えていませんでした。現在は鳥取県産材活用協議会によって、県産材の証明制度や、建築材料や家具として県産材を使うという状況が整ってきたのではないかと思っています。もちろん、使われるようになれば、求められる木材や建材のレベルも高くなり、他のものをより比較されるようになりますが、県産材の地産地消のすそ野が広がるようにしたいと思っています。

■近年の木材の搬出状況■

前田
 鳥取県の森林面積は25万9千fで、県土の74%を占めており、いわば森林県といえます。民有林の54%が杉、ヒノキなどの人工林で、そのうち約9割が間伐などの手入れが必要な60年生以下の森林です。2015年度の森林の蓄積量は6千万立方メートル、木材生産量は27万3千立方メートルです。古くから造林されてきた智頭、若桜、日野地域や、大山地域を中心とした大山アカマツなど、県内各地の人工林が利用時期を迎えています。成熟した木が使いごろになっているということなのです。

 鳥取県は「県の森と緑の産業ビジョン」を策定し、2020年には38万立方メートルの木材出荷量を目標に掲げています。林業従事者に若手が増え、成熟したよい木を出せる体制も整いつつある今、木材を活かす社会形成に取り組まなければなりません。一時期、よい木の需要が低くなり、若い人の感覚も木に対する思いも薄れてきて、平面的な木の消費になりましたが、木そのものの値打ちに深みを持たせるためにも、家ばかりでなく生活用品にも範囲を広げて、木をたくさん使う方向へ持っていきたいと考えています。

■県産材を使用した建築状況■

聲高
 2019年10月に予定されている消費税増税をにらみ、新築を検討されるご家庭が増えています。以前と比べて住む方の生活スタイルが全く異なり、家の作り方も違ってきています。最近、新築をしても住宅に日本間や床の間がない家が多くあり、海外の建築様式の影響と思われます。

新築時の建材の県産材使用の動機は、県の助成金を活用したいというケースが多いようです。環境問題にも寄与できることが県産材活用の動機になる方は、まだそんなにいらっしゃるわけではないようです。構造材は県産材を使っても、仕上げ材はクロス(壁紙)張って終わりにする場合も多い。県産材は価格が高いという誤解も根強い。その誤解を解いて、床材、壁材にこそ木材を使い、本来の木のよさを見せられる使い方を積極的にしていきたい。それは木に触れ続けられる使い方でもある。それを続ければ、また建築資材として木材の需要は増えてくるのではないかな、という期待があります。

木育≠フような教育の機会を増やすことが大事ではないかと思います。住み心地の違いは、県産材でも県外産の木材でも、どれだけの違いもないかもしれません。そうなってくると、価値観の問題になる。鳥取県の木を鳥取で消費しよう、という価値観を持ってもらえるような教育をしていけたらと思います。さらに、鳥取県内の木を鳥取県内で消費する意義を共有するというPRをしていけたらと思います。

■県産材の製材状況と物流■

霜村
 以前、県産材は高いという言葉が一人歩きしていた時期もありましたが、他県と木材価格の隔たりはさほどない。そんな今、県産材の流通や販売を考える上で、搬出量を増やすことと同等に大事なのが、切り出されて市場に出た後、つまり現場の工務店に渡るようにどうさばいていくかも重要です。ただ、これは県内の木造関連の公共工事が減っている中、県内だけの消費量拡大を進めるのは厳しいでしょう。そこで鳥取県は境港と韓国釜山の定期貨物航路があるので、木材製品の輸出を試みています。高層マンションの一室やオフィスビルの一角に使える杉、ヒノキで作った和室ユニットを売り込み、ホームセンターに建築資材を売り込むなど販路拡大に努めています。いばらの道ではあるけれど、一歩ずつやっていかなければなりません。

■木質バイオマスについて■

前田
 木材に由来する再生可能な資源が木質バイオマスです。伐採した樹木の枝や製材工場から発生する端材、住宅の解体材など、未使用の部分が燃焼する際のエネルギーにできます。世界の木材の消費の方法で一番多いのは燃料としての使い方です。木材は安心で持続可能な燃料ということを認識していただきたいと思います。

山は育ててきたが、燃やせということはできないという所有者も多いわけです。先祖代々育ててきた山の木をチップにして燃やすというのは辛いという方もいらっしゃいます。だが、新しいビジネス、つまり燃料用の木材需要も頭に入れてやってやろうという側面もないと、守るばかりではやっていけないはずです。木は使って植えて、また使う。そうした循環が必要です。

■今後の展望■

山下
 鳥取県産材は鳥取の風土、自然の中で長年かかって育てられた木材です。その木材が使われた住宅を中心に生活することの素晴らしさをもっともっと県民の方々にPRをしてまいります。

鳥取の森林は、植えて育てる森林所有者があり、それを伐採し市場に出荷する素材生産者、その木材を製材加工する製材所、その木材を使用し家を建てる大工さん・工務店により家ができます。今後とも、関係団体がさらに連携し鳥取県の木と県民の方々をつなぐ活動を展開してまいります。