排出おから 利用推進 豆乳メーカーのマルサンアイ 商品化へ メニュー開発コンも

 豆乳飲料業界第2位のマルサンアイ(愛知県岡崎市)の鳥取工場、マルサンアイ鳥取(鳥取市河原町西円通寺)は、豆乳生産の副産物として出る大量の「おから」の商品化に向けた施設整備などを検討している。併せておからの利活用推進に向け、鳥取短期大と連携してメニュー開発のコンテストを開催する。

■おから年間7千トン

 同社は2017年に操業を開始し、関西、中国、四国地域の市場に年間数万キロリットルの豆乳製品を送り出す。コロナ禍前までは、健康志向の高まりで国内のほか海外でも需要が増加し、グループの主力工場となっていた。

 順調な成長とともに排出されるおからの量も増大し、1日当たり数十トンを排出。コロナ禍でも年間7千トン以上のおからが生まれており、大量のおからの有効活用は同社の課題でもある。

 同社が排出するおからは、栄養価が高く食物繊維を多く含む本来の特性に加え、脱皮大豆を使っているために色が白く、苦味や渋味も少ない。製造工程の関係できめが細かいなどの特徴もあり、食用資源として高い特性を持つという。

■食用活用難しく

 しかし、食用の利活用はいまひとつ。排出時のおからは熱を持ち水分を含んでおり、そのままでは長期の保管に向かず、重く取り扱いも難しいことなどが食用資源としての流通を阻む。

 現在は家畜飼料や肥料などに利用するため、排出量のほとんどを専門の業者に引き渡している。食用資源としての高い特性を持つにもかかわらず、取り扱い上の名目は「廃棄物」とされる。何より問題なのは、1日当たり数十トンのまとまった量を安定的に引き受ける業者が県外しかないこと。

 輸送費に年間数千万円以上かかる上、おから活用のための輸送で化石燃料消費、二酸化炭素(CO2)排出などの環境負荷が発生する矛盾を抱えることも悩ましい問題だ。

■活用先の幅拡大へ

 費用や環境負荷が低い活用先として、堆肥やキノコ栽培の菌床の原料向けに県内事業者にもおからを提供するが、排出量に比べ需要量はわずか。同社では現在、流通のネックとなる保存や量の問題解決に向け、内容量2キロ程度のパック詰めでの商品化を検討、試作などを進めている。

 小規模の製菓、製パン事業者や飲食店などでも取り扱いやすく、食用原材料としての活用先増大を期待する。資源循環にもつながり、持続可能な開発目標(SDGs)実現に関心の高い事業者や個人などの利用も考えられる。

 商品化、施設整備の準備の一方、利用推進に向けた取り組みも進む。鳥取短大と連携し、生活学科食物栄養専攻の1、2年生を対象にした「食材まるごと活用料理コンクール」のテーマ食材を同社の「豆乳おから」に設定。来年2月に調理実技を含めた審査でおからを利用したオリジナルの料理、菓子メニューを競い合う。おいしさだけでなく普及性も審査基準とされ、上位作品のレシピ集を作成してPRに活用する予定だ。

 5日には、同社の兼子明会長が教壇に立っておからの有用性を学生たちに説いた。兼子会長は「参加者に大豆、おからの良さを見直してもらい、魅力的で斬新なアイデアで資源循環を後押ししてほしい」と話している。

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