トスク全店閉店の余波 (下)買い物困難者の危機 代替手段確保に課題山積

  • 地域を巡回し庭先で買い物の場を提供する「とくし丸」だが、拙速なサービス拡大には慎重な姿勢だ

 トスク全店閉店の意向が明らかとなり、県や地元の1市4町が買い物の場存続に向けた支援を模索している。水面下での取り組みも動き始めているようだが、店舗の継続や代替サービスの確保には課題が山積みだ。買い物困難者の命綱を守るため、全ての関係者が一体となった取り組みが求められる。

■引き継ぎに問題

 県内で小売業を営む経営者はトスクの全店閉店を「一気に全店とは思わなかったが、いつ決断するかという状況だった」と話し、業界としては織り込み済みだったと明かす。

 中山間地域の店舗について「人口減少で住民が少ない上に、車を運転できる地元の人は週末に大型店でまとめて買い物をする。少ない客数での経営だった」と指摘。本店など周辺に一定の住民を抱える店舗についても「同業者の出店やリニューアル、ドラッグストアの出店攻勢も激しく、競争から取り残されていた感は否めない」と分析し、利用者らが切望する、事業引き継ぎによる店舗継続は同業者に魅力が乏しいと厳しい見通しを示す。

 別の小売業関係者も「各店で人材の脆弱(ぜいじゃく)さが目立っていた。経営状況の改善だけでなく中山間地での人手確保など、引き継ぎにはクリアしなければいけない問題がある。簡単ではない」とみる。

■注目集まる移動販売

 店舗の引き継ぎに厳しい見方が向けられる中、既存の移動販売サービスの拡充に注目が集まる。

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