釣り一筋の人生に学ぶ

無垢な心と鋭い視点

大森均の釣れ釣れ草

 かつて釣具店だったお宅の額に

初めは魚を釣り

次第に自然や

名所旧跡や

風習等も釣り上げ

時には芸術、哲学、

宗教などの畑をも

覗いては人生観を深め

やがて健康を土産とし

ついに人の和をも釣る

亀山素光


とあった。

 この方とは面識はないが、少なくとも私が釣りに夢中になり始めた五十年ほど前には、釣り雑誌で度々お見かけした名前である。当時、釣り界の大御所という存在であった人のように記憶している。しばしこの額を見上げて、釣り一筋に歩んだ人生の歴史が見事に集約されている、と妙に感心をした。

 こうありたいものだ。

▽名人は孤高が似合う

 釣りを通して生き方を教えられることは多々ある。釣果や釣法にさほど関心がない私は、「釣りにおける人間学」のようなものに自然に関心が及ぶような癖があり、どうしてもそんな視点で釣り師を観察してしまう。

 普通、名人は孤高の釣り師という風が似合っている。大勢でワイワイ、ガヤガヤ楽しく、という雰囲気から名人への連想は遠い。また、この世界によくある師弟関係もそう年齢の離れていないものが大半で、その輪も小さいものが多い。

▽若い人たちに囲まれて

 それほど頻繁にお会いするわけでもないのに、いつも好意的に接してくださる大先輩の名人がいた。既にこの世の人ではないが、この人は不思議だ。多くの著書を記し、グレ釣り、アユ釣り、アマゴ釣り、ハエ釣りなど、どの釣りにおいても一流のマルチプレーヤーで、その釣りセンスは誰もが認める名釣り師であった。

 大勢の若い人たちが慕って集まる。全国津々浦々と言えば大げさに聞こえるかもしれないがそれに近い。二十年ほど前のこととはいえ、古希を迎えた釣り師がこれほど若い人たちに囲まれて釣り人生を楽しんでいる例は私の知る限りない。しかし、答えは当たり前のところにある。大所、高所から釣りの世界が発展することを願う無垢(むく)な心と鋭い視点。また、人間関係においても愛情豊かに息子や孫のような若者に接している姿は、自分の今後の人生には大いに示唆に富むものだ。

 枯淡の域に達した人たちから受ける感銘は、いつものことながら深いものがある。

週末のイチオシ気配

■船(1)■栖原・和歌山

 カワハギ堅調。白崎沖に出て同魚17~28センチがいい人で40~60尾程度の安定した釣果が出ている。エサはアサリむき身。要予約。▽かるも丸=電話0737(62)3527

■船(2)■泉佐野・大阪

 タチウオ上昇気配。13日、淡路沖で同魚80~110センチ30尾が竿頭。タチウオテンヤ40号、エサはイワシ。要予約。▽海新丸=電話072(469)2332

■船(3)■牟岐・徳島

 引き続き出羽島沖のイシガキダイ期待できる。同魚25~50センチ10~30尾見込める。ハリス12号、エサはウニ、マムシ。要予約。▽第八光政丸=電話0884(72)1798

■磯(1)■周参見・和歌山

 12月は例年のデータからも期待大。連日、セ島などでグレ25~35センチが5~20尾。アシカ、長島、白島、オオギシなど有望。▽岩元渡船=電話0739(55)2227

■磯(2)■大引・和歌山

 ヒジキやアシカの子などでグレ30~35センチ5~10尾(フカセ釣り)、イサキ28~35センチ5~10尾(カゴ釣り、フカセ釣り)。▽上野渡船=電話0738(65)1222

■カセ■串本・和歌山

 脂がのった良型アジ好調。13日、センカイカセで同魚25~40センチ65尾。そのアジを使って呑せ釣りでヒラメ45~65センチ1~2尾期待できる。▽大島フィッシング=電話0735(65)0129

■波止(1)■武庫川一文字・兵庫

 例年の実績からキビナゴをエサにズボ釣りでアナゴ(30~35センチ)の釣果がそろそろありそう。釣り荒れる前が狙い目。▽武庫川渡船=電話06(6430)6519

■波止(2)■妻鹿波止・姫路

 チヌがフカセ釣りで手堅い。同魚30~40センチ5尾(8番テトラ側)程度見込める。他にグレ25~33センチ10~25尾(5番テトラ側)。▽日の出渡船=電話0792(46)3030

■投げ■岸和田一文字・大阪

 カレイが今週末あたりから接岸するはず。いい人で20~30センチが5~10尾程度期待できる。年明け中旬までが有望。エサは青イソメ。▽岸和田渡船=電話0724(36)3949

■管理釣り場■小柿渓谷・兵庫

 15~20センチのアマゴがいい人で10~20尾。仕掛けはハリス0.4号、アマゴ針4号。エサは生イクラ。▽漁協事務所=電話079(569)0693

 (大阪日日APG 川崎禎昭)

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