「真実の愛」叙情的に 松阪ゆうきが新曲発売

 民謡からオペラまで幅広い楽曲をこなす歌謡曲歌手、松阪ゆうきが新曲「真実の愛」を出した。今秋でデビュー8年目に入り、コロムビアから現在の徳間に移籍して、シングルCDは通算7枚目。そろそろ若手を抜け出す時期に差し掛かったが、器用なだけになかなか方向性が定まらず悩ましいようだ。

 高校時代に福祉を学んで介護福祉士の資格を取り、武蔵野音大声楽科を出て中高の音楽教員資格を得る。祖父が好きだった民謡は、大家・原田直之に師事して基礎から学び、どれも本格派。芸名は2015年にメジャーデビューした際に、出身地の三重県から「松阪」と名乗った。

 「真実の愛」は亡くした愛する人をしのぶ歌で、通常の恋愛ソングより数段奥が深い。「見えない愛こそ真実」と叙情的に歌い上げる歌唱力は説得力があり感動的。その分カップリングの「おーい!しあわせくん」は明るく希望に満ちた仕上がりを狙いバランスを取った。「真実の愛」は歌謡界の大御所・浜圭介の作曲。歌手出身で指導は厳しい浜も、松阪の多才ぶりは認めているようで「先生はいつも“いいね、いいね”しかおっしゃらない。好きなように歌ってごらん、と言われている」そうだ。

 非常に多趣味で、温泉ソムリエや書道も三段。多くの歌手のモノマネも難なくこなす。最近は飛行機好きが講じて「旅客機エアライン検定2級」に合格、空港で離着陸した証しとなる朱印帳ならぬ翔印帳集めをキャンペーンで全国を飛び回りながら続けている。

 コロナで止まっていた実演キャンペーンも復活。新曲を持ってのクリスマスディナーショーも、貴公子然とした彼のたたずまいに引かれる女性ファンで華やかににぎわった。手応えのある新曲もヒットチャートを順調に歩んでいる。それでも悩みはあるそうで「歌がきれい過ぎて個性が薄い、ってファンにしかられるんです。民謡からオペラまで歌は何でも楽しい。後は“松阪ゆうきと言えばコレ”と言われるような、誰でも知っているヒット曲が早くほしい」と来年の目標を大きく定めている。

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