来年は新市長で盛り上がる年?

コロナの話題で終始した1年

金井啓子の伴走で伴奏

 この1年を振り返ると新型コロナウイルス感染症の話題が多かった。無理もない。国内でコロナ感染が拡大し、政治や経済、また私たちの暮らしに多大な影響を及ぼしてからもうすぐ3年が経過しようとしているからだ。

 約3年もの間、私たちはコロナ漬けの生活や仕事を余儀なくされた。私が勤務する大学でもオンライン講義が主流になる時期があったり、最近では私自身もコロナに感染して一定期間の自宅待機も味わった。そのコロナ禍の終わりが見えない。不快な出来事の出口が見えないのは不安以外の何ものでもない。

 一方で、必ず来ることがわかっている出来事もある。来年4月の統一地方選挙だ。大阪では議会選挙に加えて大阪府知事選と大阪市長選の、いわゆる大阪ダブル選挙も行われる。また堺市の市長選挙は今のところ6月の投開票の予定だが、もしかすると大阪ダブル選挙と同時に行われる可能性も残されているという。もしそうなれば来年春の大阪は選挙の話題一色になるだろう。

 その大阪府知事選挙と大阪市長選挙について、大阪維新の会では早々に立候補予定者を決めた。府知事選は吉村洋文知事が再選を目指すという。一方、市長の任期満了と共に政治家を引退する大阪市の松井一郎市長に代わり、横山英幸府議が公認候補予定者に決まった。吉村・横山の「YY」コンビが大阪府知事と大阪市長を目指す来年4月のダブル選挙は、大阪維新にとって新たなステージの幕開けといえるかもしれない。

 対して自民党など他党の動きはどうなのか。過去の大阪府知事選と大阪市長選では自民党大阪府連が公認候補を出すケースが多かった。しかし今回は自民党も候補予定者を探しているが苦戦しているらしい。めぼしい人が見つかっても色よい返事がもらえないという。もしかすると、公認候補者を出さないまま不戦敗になる可能性も決してゼロでないという。

 もし自民党が不戦敗を選択すれば大阪維新のYYコンビが戦わず勝利を手にする。候補同士の論戦が行われないままダブル選挙が終わる。有権者にすれば白けた選挙になるのは確実だろう。府議や市議を選ぶ議員選挙も盛り上がらないまま終わるかもしれない。

 出口が見えないコロナと違い、来年春のダブル選挙の出口は見えているのかもしれない。ただし同じ出口でも、こちらはあまりうれしいものではなさそうだ。

 (近畿大学総合社会学部教授)

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