ケアビューティスト・kanacoさん

ポストコロナで注目を集める 「介護美容」とは?

 「自らのコンプレックスを克服するためにメイクの道を志しました」-。

 道具を並べながら、そう語るのはフリーランスヘア&メイクアップアーティストとして活躍するkanaco(かなこ)さん。屋号の「Mofu―maru」は、コロナ禍の大変な時を共に過ごし、心の支えとなった愛兎に由来する。

 専門学校で知識を身につけ大手化粧品メーカーの美容部員として腕を磨いた。独立後は、広告やテレビ業界で数多くのモデルを担当。その人の良さを最大限に引き出すメイクで人気を博している。既存仕事の傍ら、近年は「介護美容」に着目し高齢者のいる福祉施設やご自宅へ出張サービスを実施している。「ケアビューティスト」と称されるこの職業は疲弊する現代社会において注目を集める。

 主な業務は美容を介して心身の健康を保つもので、「ケアメイク」「ケアエステ」「ケアネイル」とさまざまな施術を実施。また徹底した安全対策の中、タッチケアによる健康管理を行うことから介護職の知識も必要とされる。「こんな時代だからこそ触れ合うことが大切だと感じています。日常生活における入浴や食事のように美容も取り入れてほしいと考え活動しています。これまでの経験を生かし心に寄り添える存在でありたいです」。

 ちなみに「男性の方もいけますか?」と尋ねたところ「もちろん大歓迎です!」とのこと。今日も一人一人に寄り添い美容の力で高齢者の生活における質の向上と癒やしを提供するkanacoさん。長きにわたり続くマスク生活に伴い知人や自分の顔すら忘れつつある昨今。顔を覆い尽くすことに甘え「もう自分磨きはいいかな…」と諦めている人も多いだろう。

 だが、これまでの日常を取り戻すためには個々で気をつけながら外出を心がけ「(人に)見せること、見られること」を改めて意識する必要がある。今年は、間仕切りなしで笑顔があふれる一年になることを切に願う。(コラムニスト)

 ■問い合わせ  『Mofu―maru』  love_x_soul@yahoo.co.jp

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