日本たばこ産業(JT)は、鏡で“仕掛け”を施した街の景観に溶け込む喫煙所を大阪市北区のうめきた外庭SQUARE(スクエア)に設置した。大阪大学大学院の松村真宏教授が提唱する「仕掛(しかけ)学」とのコラボレーションで、今年3月まで実証実験として実施。不思議な空間として周囲の注目を集めることで喫煙者のマナー意識の向上も期待されている。
喫煙スペース前に、高さ2メートル前後のステンレスミラーの柱50本を設置。光学迷彩のような視覚効果により周囲の景観に溶け込ませ、中に入る人が消えるように見える不思議な仕掛けにもなっている。
「仕掛学」とは、人の行動変化を促す仕掛けを対象にした学問分野で、これまでバスケットゴールを付けたごみ箱などさまざまな実証実験を行い成果を出してきた。仕掛学を活用した「光学迷彩型喫煙所」は全国で初めてになる。
松村教授は「喫煙所を半分消えかかったように見せるのがポイント。変わった空間として人の目線を集めることができれば、その先にいる人のマナー向上につながるのではないか」と説明する。
実証実験では、外庭SQUAREの利用者を対象にしたヒアリングやアンケートなどを行い、“仕掛け”の効果を検証した上で、社会実装を目指す考え。
JT社会環境推進担当の田中洋平課長は「鏡に映ることで、中でもマナー良く吸っていただけるのではないかと期待している。結果的にたばこを吸わない方の喫煙所に対する許容度の向上が図れたらうれしい」と話していた。