感謝の気持ち 文字で表現 立体造形作家が企画展

 大阪市北区西天満のギャラリー「YOD Gallery」が移転することになり、立体造形作家の服部正志さん(45)が取り壊し前の最後の企画展「ありがとう○YOD Gallery○うとがりあ」を14日まで開いた。ギャラリーの壁面を版木として使い、木版画の技法を用いて和紙に写し取った「ありがとう」の文字を完成させた。

 服部さんと同ギャラリーの出合いは2008年。近くのスタジオで作品の撮影を終えた帰り道、引き寄せられるように同ギャラリーに入ったことがきっかけで、その後5回の展示と2回のグループ展を行った。

 昨年12月17~28日の会期前半はギャラリーの壁面に下書きした「ありがとう」の文字を彫刻刀でひたすら彫り続けた。そして後半の1月4~14日にインクを付けて和紙に刷り、ギャラリーの空間に刻まれた歴史に「ありがとう」の気持ちを込めた作品を完成させた。

 服部さんは「ありがとう」をテーマに作品づくりを行う。「自分の思いを作品に込めることができた。ギャラリーが日々、変化する様子も見てもらいたかった」と泥くさく続く作業の様子も公開。「この空間がなくなるので、会いに来てもらいたかった」と“修業”の日々を振り返る。

 最終日に完成にこぎ着け、「ありがとう」の文字をギャラリー前に展示。ギャラリーにたくさんの感謝を伝えた服部さんは「今回は視点の変化や発見があっていい経験をさせてもらえた。ここからまたスタート。次のありがとうを考えるとワクワクする」と、ともに歩んだ15年の月日を締めくくった。

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