コンサルタント業務を請け負う池田市の「荒木造園設計」から地域活性を目的とした催事の相談を受ける。これまで仕事を介して“演芸”の実績はあるが“園芸”となると読み方は同じでも話は別だ。従業員の方々と1年近く協議を重ね、昨秋の11月3日に『アラキ×(かける)』と称したイベントを実施した。
「文化の日」ということもあり周辺では多くの大型イベントが開催されていた。計画当初から集客を心配する声もあったが、地道な告知活動のかいもあり多くの人でにぎわった。
タイトルの「×」に基づき、ご当地にまつわるヒト、モノ、エリアが一体となり実施。当日は原点となる敷地内の庭園を早朝から入念に手入れした。これまで培ってきた造園業の概念にとらわれることなく若年層にも響く「ミニ盆栽」や「テラリウム」といった植栽をずらりと陳列。建物内では併設するカフェと連携し銘酒「秋鹿」の試飲試食会や正月飾りとして人気のある「苔玉教室」を実施した。
さらにイベントを介してSDGsの側面からも切り込んだ。植木の町として栄える池田市では専門業者が100社以上あると言われている。しかし剪定(せんてい)後に発生する大量の切り枝が深刻なごみ問題となっている。現在、リサイクル会社は存在するも数は少なく対応に追われている。また他府県から出た廃材も池田市に持ち込まれているのが現状だ。
そんな危機的な状況の中、「造園業に携わる者の使命」という思いから企画した「廃材の無料持ち帰りコーナー」は大盛況となった。この実績をもとに今後は、キャンプ用品、玩具、インテリアといった再利用方法を検討していく。職員の山口雅人さんにお話を伺った。「お客さまの声を聞きヒントを得ることができました。まずは廃材が世の中で活用される仕組みを考えていきたいです。さまざまな利用法を検討し社会的に大きな円が描けるようにしたいですね」。
“ネガティブこそ最大のポジティブ”になれるよう、今年は自身もプロジェクトに寄り添っていく。
(コラムニスト)