100年後も残したい本を作る

出版社『ブレーンセンター』の挑戦

 「どこの出版社も出さないけれど、次の時代に残さなければならない本があるはず。100年後も残したい本を、自らの手で作り続けたい」-。

 1975年、金なしコネなし学歴なしの状態から稲田紀男(現代表)が創業した『ブレーンセンター』。92年には「自立自営」を掲げ江戸時代、八軒家浜をのぞむ天満青物市場だった場所に本社ビルを建設。風の彫刻家・新宮晋が手掛けた建造物『風の万華鏡』は世界的にも注目を集め、イタリアを代表する建築家レンゾ・ピアノもこの地を訪れ絶賛した。

 現在、出版業で培ったノウハウを軸にさまざまな事業を展開している。ディスクロージャー分野のパイオニアとして延べ3千社におよぶ企業のCSR、広報ツール作成を支援。サステナビリティやSDGsに対してもいち早く着目し、唯一無二のコンサルタント業務を行っている。

 そんな中、昨年11月に出版した書籍が話題を呼んでいる。『遺されたもの』(後藤創平著)は、南京都高校ボクシング部の指導者だった武元前川さんの功績をたたえたスポーツ・ノンフィクション作品である。村田諒太、山中慎介、久保準といった世界チャンピオンを3人輩出し女子ボクシング選手育成の礎を築くも、道半ばで自裁した苦悩と葛藤の日々もリアルにつづられている。

 出版部の川満真也さんにお話を伺った。「多くの反響がありました。以前からお付き合いのあるノンフィクション作家・後藤正治氏の子息、創平さんが武元さんの人間性や哲学に迫っています。関西から若い方に興味を持ってもらえる事柄や世界に発信できるコンテンツを掘り起こしていきたいですね」。

 これからもキラリと光る“ほんまもん”の出版物を手掛けていく。

(コラムニスト)

■出版HP https://www.bcbook.com ■企業HP https://www.braincenter.co.jp

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