苦労の末に30代後半でようやくソロ歌手デビューした小川みすず(39)。ところがCDが出た2020年3月からずっと地球はコロナ禍で覆われっ放し。めげることなく地道な歌手活動を展開、第3作「愛着駅」がこのほど発売された。不屈の精神で4年目での“三度目の正直”は実現するか。
北九州市出身で歌は幼い頃から上手だった。しかし高校卒業と共に一度は小学校の事務職員として就職。その後も歌コンに度々優勝。どうしてもプロへの道が諦めきれず30歳を前に上京してアルバイトをしながら歌手を目指した。紆余(うよ)曲折の末にようやくデビューできた途端コロナでほとんど動けずじまい。まさにデビュー曲の題名「何でやねん」の心境だった。
新曲「愛着駅」は、愛しながら男と別れて我が道を歩み出す演歌・歌謡曲の定番に、3連と呼ばれる分かりやすいメロディー。「作詞・作曲の先生方とも相談して“まずカラオケで口ずさんでもらえるような親しみやすい曲”を目指しました。誰でもすぐ歌える内容でリクエストも増えています」と上々の手応えにホッとした表情。
書道はプロ級でファンクラブの会報に毛筆で毎回近況などを投稿。卓球得意のスポーツ少女だった名残で、今もストレッチと朝のジョギングを欠かさない。154センチと小柄だが引き締まった体ははつらつとし、アラフォーを感じさせない。
そのスタイルにぴったり合うプレタポルテ(高級既製服)と洋装店で出会った。新曲の衣装として用いているブルーのワンピースでスリットが入って、美しい足がチラリとのぞく。「仏パリのメーカー製なんです、すてきでしょ。私の身長にピタリと合うなんて奇跡。イヤリングもアンティークショップで見つけました」と心は華やぐ。
カップリング曲は出身地が舞台の「北九ブルース」。1月から九州朝日放送ラジオ「艶歌にっぽん」で自身のコーナーを持ったのを機にテーマソングとして作ってもらった。懐かしい地名が随所に登場して誇らしい気分に。6月には福岡市で行われる大規模な「博多演歌まつり」に初出場も決まった。「地元の大きなイベントで私の歌を両親に聞いてもらえる初めての機会。ずっと心配ばかりさせてきたので、ちょっとだけ親孝行できるかな?」と明るくほほえんだ。