吉本新喜劇の次世代エースを期待される佐藤太一郎(44)と小西武蔵(41)のダブルリーダー制での公演が「新・新喜劇」として3月24日夜に大阪・なんばグランド花月(NGK)で行われることが決まった。開催会見に同席した間寛平新喜劇GM(73)は、改革着手丸1年で、NGK単独公演を実現した孝行息子の出現に「2人は、セカンドシアター公演3回とよしもと祇園花月での単独公演を全て満席にした。いよいよNGK。僕も祇園で公演を見せてもらってお客さんの熱気に涙が出た」と感慨深げ。
2人はアラフォー同士と年齢は近いが、経歴は対照的。ギョロ目の佐藤は約10年間東京の小劇場で演劇を行っていた根っからの舞台人。新喜劇入りしてからも関西演劇祭で主演男優賞に当たるベストアクター賞を受けるなど、一般演劇に数多く進出。NHK朝の連続テレビ小説などのドラマでも脇役として多彩に出演。長髪ヒゲ面の小西は、ニュージーランドの高校を出て帰国後もルーマニアや米ハワイなどを転々。羊飼いの経験もある国際派。この2人が新喜劇で出会い、ユニット「人間ごっこ」を結成。本業の傍らで「M―1」にも挑戦、独自の笑いを錬り上げ。佐藤は演劇人らしく一瞬でスイッチが入るカメレオンのようなツッコミ。小西はつかみ所のない大陸的な性格を生かし他にはないボケと、異なる持ち味を生かしてジワジワと人気を積み上げた。
他の新喜劇座員はセカンドシアター公演で空席が目立つ者もいて、寛平GMから再演を許される演者は少数。佐藤は「自分らで言うのもおこがましいんですが、熱量の差だと思う。本気で“セカンドシアターでチャンスをつかもう”と思って毎回やってきた」と振り返り。セカンドシアター設立まで「ほとんど出番がなかった」と話す小西は「ありえないチャンスをいただいたんだから、それを徹底的に生かしただけ」と早くも次を見つめる。
日頃慣れ親しんだNGK舞台での座長公演は格別のようで、佐藤は「2人で一番目指してきた場所。慣れ親しんだセカンドシアターがこの真下の地下にあるので、地下芸人からようやく日の目を浴びた思い。お客さんを巻き込んだ笑いで、858席すべてを埋めたい」と決意。小西が「一言一句まったく同じ」と即興でボケると、佐藤が「ラクすな!」と大真面目にツッコんで、瞬時で記者の笑いを取り息はぴったり。
ようやく念願かなってのニューヒーロー登場に、寛平GMは「皆が地下劇場でコツコツやってきて“どこまでやれるんかなぁ”と注目していたけど、一生懸命やってくれた結果。まだ階段を10段ほど登ったばかり。先は長い」と2人にエール。次の目標を聞かれた2人は「かつて寛平GMと木村進さんがダブル座長で人気を呼んだそう。僕らは即席ではなく、普段からユニットを組んでやってきた。ぜひ“令和の寛平・進”になって新喜劇を引っ張りたい」と、現在4人がいる座長に次ぐニューリーダーの位置を飛び越え、座長就任を目指す意気込みを示した。