関西を代表するディープスポット、大阪市北区神山町。今から8年前、この場所に日本初のテクノ音楽をコンセプトにしたBARがオープンした。「幼少期ですか? 山田邦子さんのような面白いお笑いタレントになりたかったです」。真剣なまなざしでそう語るのは『TechnoBar dfloor』(テクノバー ドフロアー)マスターの山尾高正さん(別名YaMaO)だ。
1977年生まれ今里育ち。ヤンキーのたいこ持ちをしていた高校時代、店名にも由来するドイツ出身アーティスト「ハードフロア」のサウンドに魅了され興味を覚える。コンピューター専門学校のテクノ学科卒業後は、USJに就職。オープニングスタッフとして勤務したが方向性の違いからバックパッカーとなり東南アジアを放浪する。
帰国後は英会話教室の経営に携わり貯蓄。同世代に上質の音響とお酒を楽しんでもらおうと開業した。ハイクラスの機器が並ぶ洗練された店内、音量控えめのオーセンティックなスタイルもうれしい。「ジャズバーのテクノバーションにしたいです。ディスコやクラブに行くのは疲れたけど、いい音で聴きたい方が一人でもフラっと入れる店にしたいですね」。
2020年には「一般社団法人 テクノの再燃委員会」代表理事に就任。店を基点に国内外の有名アーティストと交流を深めながら、お笑いタレント養成所にも通い融合イベントを実施している。「漫才とテクノの相性は抜群です。大阪で再ムーブメントを起こしフェスを開催したいですね」。オリジナルカクテルのグラスを傾けながら、繰り返し刻まれるリズムに高揚し心が躍る夜を堪能した。
(コラムニスト)
■「TechnoBar dfloor」
大阪市北区神山町8の14 日宝東阪急レジャービル4F2号、電話06(6366)5055、URL:http://techno-bar-dfloor.osaka.jp/