昭和初期に活躍した琴浦町出身の写真家・塩谷定好(1899~1988年)の作品を展示する同町赤碕の塩谷定好写真記念館で、後期企画展2023「写真の深奥」が開かれている。「詩情」「空気」「動と静」「リズム」「バランス」など、塩谷が作品の中に込めた写真表現の奥深さを伝えている。3月25日まで。
今展では、雪深い厳冬の「三徳山投入堂」を正面から撮影した未発表作品をなど計25点を展示している。
「雲の烏ケ山」や鳥取砂丘の風紋といった自然への畏敬を示す作品や氷ノ山の雪のスロープなど、さりげない日常の風景の中に潜む美的イメージを捉えた作品は見る人の心をつかむ。
美術評論家の山下裕二さんが「旅してでも見る価値あり」という視点で選んだ著書「この一点への旅」(集英社)で、同記念館が紹介されたことにちなみ「海水浴場小景」と「蓮(はす)」の2点も特別展示。同記念館によると、本を手に訪れる人もいるという。
塩谷晋館長は「どの作品にも必ず見るべきポイントがある。それぞれの作品の制作意図を感じとっていただきたい」と話した。