安来市古川町の足立美術館で夏季特別展「100年前の日本画」が開かれている。自由で多彩な表現が生まれた大正中期から昭和初期の作品に焦点を当て、所蔵する34点を展示している。8月30日まで。
おおらかな大衆文化が広がりを見せた大正期。日本画壇では、日本美術院の再興や国画創作協会の結成、官展の改革といった動きの中で、画家たちはそれぞれの絵画表現を追求した。
榊原紫峰が31歳の時に描いた「青梅」(1918年、額二面)はウメの実がなり、アジサイが咲く初夏の風景を題材に、立体的な表現が西洋画の影響を感じさせる。横山大観の「愛宕路」(21年)は愛宕神社(京都)への参道を描いた作品で、鮮やかなマツの緑が江戸時代の琳派の表現を研究していた大正期の大観の特徴を示している。
他に川合玉堂、土田麦僊、村上華岳、富岡鉄斎、竹内栖鳳ら計18人の作品が並ぶ。
織奥かおり学芸課長は「100年前と言っても古い感じはなく、斬新な表現もある」と展示の魅力を語った。