被災地とつながる拳 -県ボクシング連盟の交流(下)

  • 青森県で開かれた第2回全日本マスボクシング選手権のリングに立った松舘志さん(左)=2022年9月(松舘美穗さん提供)

 震災をきっかけに始まった鳥取、岩手両県のボクシング連盟の交流が、競技を諦めかけていた少年を後押しした。生まれつき聴覚に障害がある岩手県滝沢市の松舘志さん(14)=滝沢二中2年=は拳を当てないマスボクシングに出合い、中学年代の王者に輝いた。

 4歳と6歳の時に両耳に人工内耳の手術を受けた松舘さんは、補聴器を付けて生活を送っている。「ボクシングをやりたい」。世界戦などをテレビで観戦。2016年に地元で行われた「希望郷いわて国体」で地元選手の活躍を見たことで情熱は一層高まった。

■初出場で優勝

 アマチュアボクシングはヘッドギアを装着するものの、パンチの衝撃が機器にどんな影響をもたらすか分からない。母親の美穂さん(48)は「接触スポーツは正直なところ無理だと思った」と振り返る。それでも手だてを探すと、職場の同僚の家族がボクシング教室を開いていた。「パンチを直接打ち合わなくても大丈夫」と歓迎され、小学3年から教室に通った。

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