2019年の山陰道・鳥取西道路の開通以降、交通量が減少した鳥取市の白兎エリアに、にぎわいが戻り始めている。地元観光協会や自治会らがイベントの開催や遊歩道整備などに注力した結果、道の駅「神話の里白うさぎ」の22年の入り込み客数は33万1008人と、前年を約30%上回った。12年に1度の卯(う)年である今年に向け、地域を挙げて取り組んだ魅力向上が実を結びつつある。
■コロナが追い打ち
19年5月に鳥取西道路が開通すると、国道9号の交通量が減少し、同道の駅の6月以降の入り込み客数は、前年と比べ30%も減少した。さらに20年には新型コロナウイルスの感染拡大が追い打ちをかけ、年間の入り込み客数は19年の約47万人から40%以上減らし、約27万人となった。
白兎観光協会の和田俊彦会長は「観光地として、このままではいけない」と危機感を抱いたという。入り込み客数の回復を目指し、同協会や地元自治会のほか、市観光コンベンション協会、鳥取市など官民が連携。コロナ禍の20年7月に、「白兎周辺地域魅力創造会議」が立ち上がった。
同会議では21年度、道の駅に隣接し、日本海を見渡せる展望広場までの遊歩道を整備したほか、周辺スポットなどを紹介する観光マップを1万部制作。22年度には、白兎を立ち寄り先とする周遊タクシーの運行や、白兎周辺でのスタンプラリー開催など、新たな誘客の仕組みを構築した。
■盛り上がりを継続
官民が連携して誘客促進に取り組んだ結果、同駅の入り込み客数はV字回復の兆しが見えた。21年は過去最低に近い25万人だったが、22年は約33万人に増加。年越しイベントにも多数の来場があり、同駅の福市勉駅長は「見たことないくらいの来場数だった」と笑顔を見せる。
12年に1度の卯年は、ウサギつながりで観光客が増える傾向にあり、今年の正月三が日は、白兎神社に例年の3倍近い約3万人が参拝。和田会長によると、今年に入り、観光バスの利用もコロナ禍前と同等のレベルまで戻り始めており「土日の多い日には4、5台来る」という。
同駅の1~2月の入り込み客数は6万5735人で、鳥取西道路が開通前だった19年の同時期を約8千人も上回った。5月の大型連休も人出の増加が予想され、同駅や同会議は、食を絡めたイベントなどを企画し、誘客促進の取り組みをさらに進める方針だ。
福市駅長は「海岸線はサイクリング客にも人気。せっかくの卯年なので、SNSなども活用してPRに力を入れたい」と笑顔。同観光協会の和田会長は「卯年の盛り上がりを継続させるため、行政、関係団体と連携して取り組みたい」と意気込む。