消えゆく日本の食文化を守ろうと、智頭町芦津の山菜料理みたき園がユニークな取り組みを始めた。斉藤隆介の人気絵本「花さき山」と、絵本に登場する山菜などを使って手作りした煮物をセットにして販売。日本の懐かしい風景を描いた絵本と手作りの煮物を家庭の食卓に届け、「地元の食材を使い手間暇かけた日本の伝統食の素晴らしさを次代の子どもたちに伝えたい」という。
同園の若女将( おかみ )の寺谷亜希子さん(41)が考案した。幼い頃から大好きな花さき山で描かれる「誰かのために何かを頑張ること」が、同園の「小さい花を愛(め)でるように心と体を動かす」という方針とつながると考え、1年かけてコラボレーション商品を作り上げた。
同園の人気メニューや花さき山に登場する山菜などを中心に、おから▽干しダイコン▽キャラブキ▽ゼンマイ▽むすびこぶ―の5種類の煮物を用意。同町の山で採った山菜や、自分たちで育てた大豆などを使い、たっぷりのだしとしょうゆ、砂糖で煮込んだ。むすびこぶは北海道産の昆布を、一つ一つ手作業で巻いている。
寺谷さんは「今は、忙しさからゆっくりと煮物を作れない家庭も多いのでは」と話し、「手間暇をかけて作ることは尊いこと。誰かのために何かをする心遣いや手仕事を、煮物と共に届け、未来につなげたい」と力を込めた。
同セットは、店頭と同園のホームページで予約販売を受け付け中。価格は5500円(送料、税込み)。