カザグルマ 米子で自生? 湊山で発見 野生種なら県内初

 国史跡・米子城跡がある鳥取県米子市久米町の湊山で7日までに、県内でも野生種としては初確認とみられる希少植物のカザグルマが見つかった。専門家は、野生種の可能性が高く、県の絶滅危惧I類にも相当するとして保護を強く訴えている。

 カザグルマは、主に林縁に自生するキンポウゲ科のつる性多年草。花びらのように見えるガクは通常8枚で、おもちゃの風車に似ていることからその名が付いた。多くの都府県で絶滅危惧種などに指定され、奈良県宇陀市の自生地は国の天然記念物となっている。

 市民グループ「米子城山の植物を愛する仲間」の松下順一代表(67)が2021年5月、本丸石垣の草地でカザグルマとみられる花1輪が咲いているのを発見したのが発端。この時は専門家の確認に至らなかったが、昨年から市の許可を得て同グループが現地で保護柵を設けるなどし、見守り活動を続けてきた。

 待望の花は、4月29日に最初の1輪が咲いた。薄紫色の直径約8センチの花で、5月2日には2輪目が開いた。つるは5株で石垣の間からも出ている。先月30日に鳥取大農学部の永松大教授と大山自然歴史館の矢田貝繁明館長が現地で確認した。鳥取県立博物館によると、これまで県内で確認された自生地はないという。

 カザグルマは園芸種としても親しまれているため、湊山のカザグルマの由来を野生種だと断定できないが、矢田貝館長は「人が植え付ける必然性がない。これまで見つからなかったのは、石垣の草刈りで花芽の枝が刈られていたからではないか」と推論。その上で「野生種の可能性が高い。県の絶滅危惧I類に相当し、保護すべきだ」と訴える。

 松下代表は「城跡整備が進む湊山だが、貴重なカザグルマを大切に見守りたい」と話した。

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