日本三奇の一つ「生石(おうしこ)神社」の浮石を訪ねた。世界には人智を超えたミステリーが存在するが、日本三奇と呼ばれる「塩竈」(宮城県)、「天の逆鉾」(宮崎県)、そして兵庫県にある生石神社にある「浮石」もそのひとつだ。
「三奇」というワードに魅せられ、生石神社へ向かった。生石神社は兵庫県高砂市、宝殿山山腹にある神社だ。石の宝殿と呼ばれる巨大な石造物をご神体としていて、宮城県の塩竈、宮崎県の天の逆鉾とともに日本三奇の一つとされている宙に浮かぶ巨石が通称「浮石」。横6・4メートル、高さ5・7メートル、奥行き7・2メートル、重さは推定465トン!
写真でこの大きさが伝わるだろうか。ほぼ7メートル四方の巨石とあって、目の前にすると圧倒される。ご神体へたどり着く前に通る拝殿が荘厳な雰囲気を醸し出していて、ただならぬものに近づいて行っているドキドキ感が味わえる。水面上に浮かんでいるように見える「浮石」だが、実際は浮いているわけではない。
この巨石は下の部分を削って掘りこんであり、切り離す直前の状態でそのまま残っている。実際は浮かんでいなくても、そう信じてしまうオーラがこの「浮石」から放たれているように感じる。「誰が、何のために作ったのか」と、神社に訪れた人の誰もが疑問に思っていることだろう。しかし、その実態は実は謎のままだ。古墳や祭壇にするための石であったという説がいくつも存在するが、どれも確証は得られていない。
浮石の背面には謎の突起がある。あなたはどう思われるでしょう? 播磨国風土記の一節に、浮石のことを指していると推測できる「物部守屋によって造られた石」と書かれた記述がある。それによると、浮石は8世紀前半から1300年もの間、生石神社に鎮座し続けているということだ。
(ホテル・旅館プロデューサー)