地震と釣り

大森均の釣れ釣れ草

 東日本大震災から12年たった。毎年、3月11日近くになると津波に流されていく悲惨な光景が繰り返し画面から映し出され心が痛む。当時の釣具関係者の話によると、釣具店はほとんどが津波の影響を受けやすい海に近いところに偏在しているため、業種的にも消滅したというほどの被災状況だったらしい。

 当日、何が起こっているかも知らずのんきに和歌山で釣りを楽しんでいた釣友がいた。出かけていることを知っている別の釣友が「東北で大きな地震が起きたらしい。津波も相当なものらしいからすぐに退避するように」と、報道に接して即座に連絡をした。

 当初の和歌山方面に対する予報が1メートル程度だったように思うが、しかし、津波は湾の入り組み具合や波を受ける地形の形状でもその脅威は大きく違う。低い防波堤に押し寄せれば命の危機はある。あの時間なら現地では釣りを楽しんでいる最中に被災された方も相当数いたはずだ。

▽救いがたい脱線ぶり

 釣りの最中に地震に遭遇したら、どう対処するか。かつて、神戸の震災のあと、その話題になったことがある。本来は「すぐに撤収、退避」などの方向に向かうはずが「揺れが収まったら、そのまま釣り続ける人が多いかも知れないが、それは時間の無駄。地震直後は食いが悪い」など、地震直後でも釣れ続くのか? と思わぬ方向に議論は向かった。

 いつの間にか「そんな日は釣れ続いていても、直前からピタッとアタリが止まる」という不思議な予知能力の話など、結局、釣れるか釣れないかに本題がすりかえられている。

 「地震の予兆現象の一つとして、ナマズが暴れたら地震がくる」「ナマズに限らず大地震の前に犬が暴れたり、鳥がいなくなったり、近海で深海魚が漁師の網にかかったり…」まではよかった。「地震の1週間前くらいまでなら、察知した魚が、沖まで避難していたから釣れなかったと、言い訳にはちょうどいい」と、最後は救いがたい脱線ぶり。

▽ライフジャケットを着用しよう

 とにかく、われわれ釣り人が心しなければならないことは、釣りにともなう最大の危険は、水中転落であるという再度の認識だ。転落事故の最も多いのは磯釣りと、波止のテトラ釣りといわれている。磯での遭難は派手に報道されるが、テトラ釣りの死亡事故の多いことはあまり知られていない。これは救命具の着用率が低いという単純な原因による。これとても、津波の規模や漂流物の衝突のリスクなども考えられ絶対安全というものでもないが、生存確率は確実に違う。

 「波止釣りぐらいでたいそうな」と考えず、送り出した家族の心配を軽減するためにも、必ずライフジャケットを着用しよう。

週末のイチオシ気配

■船(1)■明石・兵庫

 ガシラ堅調。17日、ガシラ18~28センチ30~40尾とメバル22~30センチ2~8尾が竿頭。別船ではショウサイフグ25~40センチ10~20尾。要予約。▽名田屋乗合船=電話078(912)7211

■船(2)■阿尾・和歌山

 イサギ上昇気配。15日、同魚25~37センチ21尾が竿頭。近日中倍増見込み。竿2.1~2.4メートル、オモリ120号、吹き流し3本針。要予約。▽共栄丸=電話0738(64)2318

■船(3)■谷川・和歌山

 淡路沖のクログチ堅調。15日、同魚40~53センチが17尾。サオ2.4メートル、オモリ60号、エサはイカの切り身。要予約。▽おおせき丸=電話072(492)1215

■船(4)■北港・大阪

 神戸沖半夜便のアジ&メバル好調。メバル16~25センチ18尾とアジ20~30センチ5尾。午後2時半~5時集合。オモリ30号。要予約。▽ヤザワ渡船=電話06(6573)7712

■磯(1)■栖原・和歌山

 かるも島、鷹島などでチヌ35~50センチがいい人で5~8尾見込める。遠投してタナ6ヒロでマダイ35~50センチが1~2尾交じる。▽かるも丸=電話0737(62)3527

■磯(2)■袋・和歌山

 ヤエンのアオリイカ期待。今週末は、南紀一帯で水温17度を超え磯で大型続出必至。完全予約制。▽かわばた渡船=電話0735(62)0052

■波止(1)■武庫川一文字・兵庫

 パイプ虫をエサにしたヘチ釣りでチヌ好調。フカセ釣り2番外、ヘチ釣り5番内外でチヌ35センチ前後5~10尾。▽武庫川渡船=電話06(6430)6519

■波止(2)■西宮ケーソン・兵庫

 大阪湾一帯でハネが一気に本格化の気配。60センチまでのハネがいい人で4~6尾。これからは日を追って上昇する。▽MAX武庫川店=電話06(6411)4848

■釣り公園■尼崎釣り公園・兵庫

 ハネが安定。連日、ハネ40~60センチが2~5尾。15日、同魚51~58センチ6尾(エビ撒き釣り)。ズボ釣りも同様の釣果がある。▽尼崎釣り公園=電話06(6417)3000

■投げ■アジュール舞子・兵庫

 戻りカレイ期待。須磨から明石にかけて第1陣ともいえる釣果があった。25~35センチ2~5尾見込める。上昇必至。▽MAX垂水店=電話078(753)3838

 (大阪日日APG 松田勝也)

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