大学生が記者に挑戦(下) みやの湯

 町並みに溶け込む古き良き銭湯の外観。高い位置に外光を招き入れる高窓。浴槽はメインとなるジャグジー、電気風呂、ジェットバス、露天風呂の四つに分けられている。目を引くのはなぜか浴室の壁に張られたたくさんの新聞。2021年4月、大阪府門真市宮野町に再オープンした銭湯、「みやの湯」は現在までさまざまな客に利用されている。店長の太田大貴さんは「銭湯の魅力を広めていくことが『みやの湯』の役割」と語る。

■ゆとなみ社

 「みやの湯」は「ゆとなみ社」(京都市)という銭湯継業の集団によって再オープンした。それぞれの銭湯で、先人たちの「湯と営み」を日本に残し続け、「銭湯を日本から消さない」をモットーとしている。

 「みやの湯」のリニューアルに際して心がけていたことは「元あった形をゼロにしない」(太田店長)。再オープンする前後で内装、外装は変えていない。「みやの湯」を急変させると常連客が来にくくなったり、町の雰囲気になじめなくなったりしてしまうことを危惧したためだ。浴室の壁にはスタッフ全員で作成している壁掛け新聞「みやの湯新聞」が張られている。発行は毎月1、15日で、内容は日常の出来事などスタッフによってさまざま。

 ゆとなみ社が京都府内で運営している「サウナの梅湯」でスタートし、客は湯船につかりながら「みやの湯新聞」を見て楽しむことができる。温まっている間も「手持ち無沙汰にならないように」という配慮で、スタッフとコミュニケーションを取るきっかけとしても活用している。

■今後の「みやの湯」

 太田店長は自身が大学生の時にあれば面白かったと思う施設を形にすることで、「みやの湯」を大学生の憩いの場にしたいと考えている。「みやの湯」だけでなく、周辺地域も活性化させ、「門真といえば自動車教習所と『みやの湯』と言われるぐらい知名度を上げていきたい」と意気込む。

 現在、ゆとなみ社が運営している大阪の銭湯は「みやの湯」だけで、太田さんは「大阪府民に銭湯の魅力を伝えるということが『みやの湯』の役割ではないか」と話す。

 

取材後記

 今回「みやの湯」で取材をさせていただいたことはとても貴重な体験になった。太田さんが「みやの湯」を大学生の憩いの場にするだけでなく、その周りに若い人があつまる施設を造ることが実現すれば、町を活性化させることができ、銭湯業界のみならず、さまざまなところにいい影響を与えそうだと思った。

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