36年前に「難波女の演歌やねン」でデビューしたベテラン歌手西山ひとみが、3作目となる大阪ソング「大阪の雪」を3月にCD発売した。ベテランの杉本眞人作曲、朝比奈京仔作詞の組み合わせは、同じ杉本・朝比奈コンビで1994年に発表した「なんや知らんけど」(チャン・ウンスク)を、西山がイメージして「ぜひあんな感じの曲を」とリクエストした結果。思いを聞いた。
福島県出身の西山だが、歌手としての第一歩は大阪から始まった。「演歌歌手としては面白い声や」との評価からカラオケ大会やのど自慢をへずにスカウトされ、デビュー前のプロ歌手修業の一環で所属のテイチクで大先輩にあたる天童よしみの手伝いとして在阪ラジオ局に出入りするようになる。親しい友人もいない大阪で空いた時間を過ごしたのは、キタ・曽根崎の繁華街で今はなきお笑いのライブ劇場「うめだ花月」。「当時は入れ替えがなくて何回見てもよかったんです。舞台での機関銃のようなしゃべくりが東北人の私にはとても新鮮に映った。そのまねは到底できないので、私は今でもゆっくりおしゃべりしますけどね…」と懐かしそう。
歌手生活3作目の大阪物。「大阪弁が出てくるのは最初の“何年ぶりやろか? 大阪に雪が降る”というところだけ。言葉イメージより、ざっくばらんだけど情が深い大阪女性の心根を描きたかった」と話す。
出演した3月のKOBE流行歌ライブでは、カバー曲に昭和を代表する歌手ちあきなおみの「酒場川」と越路吹雪の「愛の讃歌」を歌った。彼女らしいシャンソンの香りがするシャレた仕上がりに客席からは盛んな拍手が送られた。
長かったコロナ禍での歌謡ライブに対するさまざまな規制もようやく解かれる時期は近い。「“ひとみちゃんの歌で元気になった”と言って頂けるのが一番の喜び。これからはライブを中心とした歌手活動を念頭に置いて頑張っていきたい。いろいろなアイデアが次々湧いてきてワクワクが止まらないんです」と、心はバラ色だ。