神戸・御影出身で今春デビュー満23年を迎えた瀬口佑希が、2作続いたドレスでのリズム歌謡から2年ぶりの着物姿での演歌「冬航路」を発表。3月度の大阪発・流行歌ライブで地元ファンに披露した。ドレスで歌っていた2曲もステップ付きで歌い、ファンから好評。「いろいろな面を試して、お客さまに喜んでもらいたい」と意欲的だ。
アマ時代から演歌が大好きで、甲南大を卒業後プロデビュー。師匠の桜田誠一は2012年に亡くなったが、歌唱力を認められ以後も年間1、2枚のペースで新曲CDを出している。
昨年は2作限定で「運命の悪戯(いたずら)」と「誘惑のスキャンダル」を発売。シックなフラメンコ風ドレスで情熱的に歌い踊る姿で新たなファン層を開拓した。
新曲はカップリング「ふたりの絆道」を含め2作とも、筑紫竜平のペンネームで大物演歌歌手・大川栄策が担当。「冬航路」の詞は昨春に65歳の若さでなくなった坂口照幸の遺作で、冬の波止場の桟橋で別れた人を思う女心を切々と歌う純和風演歌だ。
「大川先生にはご自宅でレッスンをして頂き、奥さまにご飯までごちそうになって」と恐縮。大川は日本歌謡曲の巨匠・古賀政男の弟子だけにその指導は厳しく、歌のうまさで定評のある瀬口も情景描写やこぶしの回し方など細かいところまで厳しく丁寧な指示を受けた。「20年以上この仕事をしていても“目からうろこ”の勉強になることばかり。“演歌を歌い届ける”という原点に立ち帰りました」と今も歌うたびに感激の面持ち。
その点では昨年のリズム歌謡2作は、着物姿のままでステージで歌うため趣が変わり遊び心も加わってファンは大喜び。「ぞうりでステップ踏んで、手の動きもある。ところが着物では真上まで手が上がらないんです。何より帯でギュッと締めているのでドレスと同じ調子で声を出すことができない。困ったんですけど、ファンの皆さんは“マツケンサンバみたいや”と喜んで下さるからよかったのかな?」とまんざらでもない笑顔に。悩みはこれから本格的な春に向かい着物姿ではステージではライトに照らされかなり暑いそうで「その点、ドレスは楽だった! 真夏の事を考えると気が滅入る」と本音。
明るい性格と人を引き込むトークで、コロナ禍が明けての各地ステージの本格再開を心待ちにしている。