「源平物語」を多様な演芸で 「霜乃会」本公演

 上方伝統芸能の若手伝承者で作る横断的交流会「霜(そう)乃会」の年に一度の本公演「霜華咲(そうのはなさく)」が5月6、7日の両日、大阪・日本橋の国立文楽劇場小ホールで「源平物語」をテーマに行われる。

 霜乃会は、落語や講談、浪曲の大衆芸能から文楽、能の伝統芸能をはじめ、華道、茶道の伝統文化まで計9人が参加して2017年に発足。毎月数人ずつ組み合わせを替えてライブを開催。年に1回統一テーマを決めて一堂に会している。

 源氏と平家の戦いをテーマにしたさまざまな演芸は、日本では歌舞伎を含めた長年の伝統がある。講談の旭堂南龍は「今は実際にウクライナ侵攻の真っ最中で戦争にまつわる出来事を美化できない時代。私はあえて活劇にせず、那須余一を選んで優美に仕上げました」と説明。また今年初めに発表された令和4年文化庁芸術祭(大衆芸能部門)新人賞を受けた浪曲の京山幸太は「この源平というテーマは浪曲では比較的演目が少ない。そこで牛若丸の“弁慶五条の橋”を選びました。他の世界の方々と一緒にやることで創意工夫を覚え、とても刺激になって役立ってます」と感慨深げ。

 この会での文楽は素浄瑠璃と呼ばれる人形を遣わずに演じるが、語りの竹本碩太夫は「一つの芸の持ち時間は15分ずつぐらい。ギュッと圧縮して」と話し、能のシテ方今村哲朗は「堅苦しくない内容で華やかな内容選んで」と工夫。

 全体をつなぐ進行役は落語家の桂紋四郎が務め、全体で2時間程度に納める予定で「文楽劇場は伝統芸に向く作り。上方の伝統芸能を多くの方に知ってほしい」と話している。

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