「＋ｂ」オーナー　島津江光さん

　新生活が始まり、これまで自身の顔半分を覆っていたマスクを取るシーンが増えた。

　近年、学生をはじめとする若年層の間でも脱毛やホワイトニングといった美容に対する関心が高まっている。そんな中、１０代から２０代を指す「Ｚ世代」をターゲットにしたお店が話題を呼んでいる。「私自身も大学を卒業して間もないＺ世代です。当店は女性心に寄り添いセルフサービスをコンセプトにした美容サロンです」。

　そう語るのは『＋ｂ』オーナーの島津江光さん。幼少期から美容文化に興味を持ち、大学時代は英文学科で韓国語を専攻した。しかし入学早々にコロナが襲い憧れていたキャンパスライフや海外留学はかなうことなく卒業時期を迎えた。

　就職先を模索していた時、働く女性を支援したいという元滋賀県警の女性警官で現在はエステ器具の開発を行う美容家と出会い開業を決意した。自ら創る新しい職場…数ある候補地の中から選んだ場所は梅田の延長線上に位置する中崎町だった。「定番の堀江エリアも候補に上がりましたが多くの学生が集う中崎町に引かれ決めました。韓国カフェをイメージした無機質な内装、快適な時間を過ごしてもらうためのレイアウトやＳＮＳを駆使した広告展開にもこだわりました。もちろん何度も再訪いただけるよう低価格に設定しております」。

　施術中は「見られたくない」という心理を具現化した店内。一角には美容ドリンクを手に独りで余韻を楽しめるスペースもある。まさに韓国的センスと日本式のホスピタリティーが絶妙に融合するセルフメンテナンス基地と言える。「コロナのおかげで需要も高まり現在の仕事にも出合えた。今後は男性専用の店舗も展開したい」と前向きな抱負を語る島津江さん。多様性が生んだ新スポットは、次世代の明るい兆しを象徴している。