事故や病気で親を亡くしたり、障害などで親が十分に働けなくなった子どもたちの奨学金を募る「あしなが学生募金」の街頭活動が29、30の両日、天王寺、京橋、千里中央など府内各駅前計13カ所で行われる。全国一斉スタートに先駆けて21日、大阪市中央区の難波交差点前でPRした。新型コロナウイルス禍や物価高騰は家計への影響が大きく、学生らが募金箱を手に協力を呼びかけた。
あしなが育英会(東京)の奨学生団体が実施。毎年春・秋の2回実施していたが、コロナ禍で2020年春~22年春は街頭活動ができず、財源も不足していた。大阪府では全国最多の855人があしなが奨学生として学んでいる。
この日は、学生らがマイクを手に「後輩遺児たちへの支援の輪を広げたい」と訴えた。40年近く支援しているというタレントの西川きよしさんも応援に駆け付け、通行人らが次々と足を止めて「頑張ってください」などの言葉とともに善意を寄せた。
メンバーの一人、里見さやかさん(21)=兵庫県立大4年=は、5歳で両親が離婚し、小学5年の時に母親が筋力が次第に低下する難病「筋ジストロフィー」と診断された。一つ上の姉は脳性まひで手足に障害がある。一時は進学をあきらめかけたが、先輩遺児らと交流したことがきっかけで「人生の選択肢を広げる経験ができる」と大学進学を志した経緯がある。現在は大学で気象学を学ぶ。
両日に向けて里見さんは「私たちが学べるのも“あしながさん”(支援者)のおかげ。あしながのことをもっと知ってほしいし、3年間街頭で伝えられなかった感謝の思いを一番に伝えたい」と意気込んでいる。
集まった善意は日本とアフリカの遺児支援に充てられる。