乗っ込み桜ダイ二景

京都経が岬沖と和歌山田辺の磯

大森均の釣れ釣れ草

 マダイほど日本人に人気のある魚はいない。淡泊ながらうま味が強く、臭みや脂肪などの癖も薄い。もう一つの大きな特徴として鮮度の劣化が遅く、遠くに運べることは最大の利点であった。古くは駿河湾で取れたマダイが甲府の殿様に供されたという。また、鮮やかな赤い体色と「めでタイ」との語呂合わせから、慶祝事や神道の祭において欠かせない高級食材とされてきた。しかし、諸外国では必ずしも高級魚ではない。

▽タイラバで

 19日、兵庫県西宮市に住む中井浩司さんは、早朝7時に港を出て経が岬沖のポイントで釣り始めた。1投目から70センチのマダイがヒットし、絶好調の滑り出しにさらなる期待が膨らんだという。

 突然ひったくるようにロッドを持ち込んだ2尾目は、スレ掛かりの50センチのハマチだった。口に掛かった魚に比べればスレ掛かりの魚はその大きさや魚種を誤るほど強く引く。タイラバロッドのような軟調の竿(さお)では50センチではその逸走に耐えるだけで大変だ。

 それが運悪くまた掛かった。中井さんの口から「また、青物ですわ」と。数分のやりとりの後、水面下に桜色の魚体が見えた時には船長も同行者「大きい!マダイや!」と異口同音にハモるように声が出たという。船内に横たわった85センチ8・7キロのマダイのオーラにしばらく声も出なかったらしい。

▽カゴ釣りで

 2日、岸和田市の河合純希さんは中紀田辺で乗っ込みマダイを狙って磯に立っていた。この時季の磯釣り師は悩ましい。グレは6月の梅雨グレシーズンまでお休み。しかし、何もしないで待っていられる人はほとんどいない。河合さんも例外ではない。「田辺湾でカゴ釣りでもして遊ぼう」とマダイ狙いのこの釣行になった。

 とにかく釣り始めた。アタリがない。同礁した他のグループはポツポツと釣り上げている。どうもタナ(魚の遊泳層)がズレていると判断した河合さんは、タナを探るべく仕掛け1~3ヒロの範囲で移動させた。

 途端に大きくウキが消し込んだ。40センチ前後のマダイが4尾釣れた。その5尾目だった。そろそろ正午になろうという時、ウキの反応が。大きく合わせた。経験したことのないほどの強い引きをかわして無事取り込んだマダイは67センチのビッグサイズ。この日、この魚を頭にマダイ6尾と35センチ前後の真アジ1尾と磯のカゴ釣りとしては上出来の釣果に恵まれた。

週末のイチオシ気配

■船(1)■北港・大阪

 神戸沖に出る半夜ショート便のマアジ&メバルがお土産確実。24日、マアジ25~33センチ23尾とメバル15~23センチ15尾が竿頭。要予約。▽ヤザワ渡船=電話06(6573)7712

■船(2)■西宮・兵庫

 海峡サビキ便でマダイ期待。同魚25~45センチ2~5尾。別便の半夜アジ&メバルは、アジ20~28センチ16尾とメバル15~23センチ3尾。要予約。▽釣り人家=電話090(8794)1091

■船(3)■比井・和歌山

 日の岬沖で金アジが上昇気配。25日、2人連れが同魚36~51センチ62尾とイサギ30~37センチ2尾。水温16.5度。▽岬旅館=電話0738(64)2975

■船(4)■戸津井・和歌山

 黒島沖に出る平アジ良型狙い好調。25日、同魚35~45センチ64尾とイサギ数尾が竿頭。オモリ110号。要予約。▽つるしま丸=電話0738(66)0234

■磯(1)■梶賀・三重

 5月1日から大黒周辺が解禁。解禁直後に夢の60センチが期待できる。朝4時45分出船。納竿午後1時。▽榎本渡船=電話0597(27)2211

■磯(2)■大引・和歌山

 マダイ狙いが一番。アシカの親と子、ヒジキ島などの磯で良型がフカセ釣り、カゴ釣りともに期待できる。60~80センチビッグサイズが連日上がっているので太仕掛けで。▽上野渡船=電話0738(65)1222

■筏■堂の浦・徳島

 筏で28~35センチのサヨリが20~50尾期待できる。マキエのヌカとアミエビを多めに持参し途切れなく撒くと釣果が伸びる。▽細川渡船=電話088(688)2860

■波止(1)■西宮ケーソン・兵庫

 ハネ&チヌ一気に上昇気配。エビ撒き釣りでハネ40~60センチ1~5尾、フカセ釣りでチヌ35~45センチ2~7尾。特に二つ目カーブ付近の外向き激奨。▽フィッシングMAX武庫川店=電話06(6411)4848

■波止(2)■武庫川一文字・兵庫

 4~5番内外でエビ撒き釣りでハネの釣果上向く。40~60センチ3尾見込める。シケ直前には落とし込みのチヌ35~40センチ5尾。▽武庫川渡船=電話06(6430)6519

 (大阪日日APG 錦 剛司)

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