最近は春らしい日が増えてきたが、小売業界では既に冬の準備が始まっており、クリスマス商戦に向けた商品発注の時期を迎えている。世界の関連商品の8割以上が中国製とされ、米国向け商品もまた中国製であふれている。ところが、今年は米中が互いに高い関税を掛け合っており、米国向けのクリスマスグッズが例年通りの供給量を確保できるのか危ぶまれている。
それに加え、米市場から締め出された安価な中国製品が東南アジア諸国などへ一挙に押し寄せる「デフレ輸出」を懸念する声もある。中国政府が輸出企業に米以外の国や地域への販路拡大を奨励しているためだ。
トランプ米大統領が1期目の任に就いていた2019年末、ニューヨークを訪れる機会があり、トランプタワーに足を運んだ。地下フロアにはトランプグッズの販売コーナーがあり、帽子や人形が所狭しと並んでいた。当時も貿易摩擦は起きていたが、現在のようなトランプ関税に翻弄(ほんろう)される日が来るとは夢想だにしなかった。
後で知ったのだが、トランプ支持者に人気の「米国を再び偉大に」と書かれた赤い帽子の多くが、中国をはじめとする外国製なのだという。トランプ大統領の信条は「バイ・アメリカ...