コラム

[野分 大阪発・論点] 2月8日は森友記念日 何が焦点か?

2020年2月8日
相沢 冬樹

 2月8日は森友記念日。3年前のこの日、大阪府豊中市の木村真市議が国を相手に情報公開を求め提訴した。「国(財務省近畿財務局)が森友学園に売った豊中市内の国有地だけ金額が情報開示されない。よそに売却された他の国有地はすべて公開されているのに」。まことにもっともな主張だが、これだけならローカルニュース止まりだろう。ところが話は続く。

 「この土地に建つ小学校の名誉校長は安倍昭恵首相夫人です」。えっ!となるではないか。NHK記者だった私は当然記事を書いたが、安倍昭恵首相夫人の名前は冒頭から削られ全国放送もされなかった。

 一方朝日新聞は翌日の朝刊で大きく報じたから問題が広く世に知られた。野党の追及で財務省は金額をあっさり公表。9億円の土地を8億円も値引きしていたことが明らかになった。理由は国有地に埋まっているごみの撤去費用だという。でもそんなにごみがあったのか? 当の森友学園の籠池泰典理事長(当時)自身が当初から「撤去にそれほど費用はかからない」と認めている。事実、ごみはほとんど撤去されないまま校舎は立派に建っている。

 そもそもごみがあったのかも極めて怪しい。となれば不当な値引きだ。なぜそんなことをしたのか? 首相夫人の影響はあったのか? そこが事件の本質だ。これは国民の財産の侵害だから公務員の背任行為にあたるが、検察の捜査ではおとがめなしの不起訴。市民から選ばれる検察審査会は「不起訴は不当」と議決したが、検察は再捜査でまたも不起訴にした。

 森友事件が国会で連日追及されていたさなか、財務省の佐川理財局長(当時)は「資料はすべて廃棄した」と答弁していたが、まさにそのころ財務省は資料をせっせと廃棄し、あるいは都合の悪い記述を書き換える“公文書改ざん”を行っていた。不当な書き換えをさせられた近畿財務局の職員は命を絶っている。改ざんの刑事責任も一切追及されていない。公文書の廃棄・改ざん、その後のうやむやは、今の桜を見る会問題につながっている。

 森友と言えば籠池夫妻の詐欺事件の裁判が今月19日に判決を迎える。しかし考えてみてほしい。森友事件とは国と大阪府の事件であり、森友学園の事件ではない。国が国有地を不当に安値で売ったこと、それが大阪府による小学校の認可と深く結びついていたことが焦点だ。

 籠池夫妻の詐欺事件は国有地と何の関係もないのに検察はこれを最優先で捜査し、結果的に国有地値引きの背任事件はかすんだ。だから籠池夫妻にどういう判決が下ろうとわれわれは訴えるべきだ。「それはそれとして国有地不当値引きの真相は? 公文書改ざんの刑事責任はどうなった?」

 (大阪日日新聞編集局長・記者)


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