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住民投票告示に寄せて 「ニア・イズ・ベター」の本気度を見極めたい
2020/10/13


 大阪市城東区の旧区役所庁舎跡地活用問題が、まだ尾を引いている。市の決定に対する「不信感」が住民の間に残ったままだ。住民の意見を反映する仕組みは「大阪都構想」にも盛り込まれているが、果たして、実効性はあるのか。12日告示された来月1日の住民投票を前に、城東区旧庁舎問題を検証しておきたい。

 公益性か、市場性か。救急医療の整備を求める住民と、財源確保に軸足を置く区役所の相違が浮き彫りになったこの問題は、マンション建設も可能な区役所案で結論を見た。だが、問題の本質は「区政会議」のありようにこそあった。

 市条例に基づいて、住民側は、区政会議委員の定数「4分の1以上」の賛同を得て、区役所案の修正審議を要望。区長主導ではなく、委員の自発的意思による6月の区政会議は、出席者数が定数「3分の2以上」にわずか1人足りず、決議に至らなかった。ここに尾を引く原因がある。

 地元選出の明石直樹議員(公明党)が9月の市議会市政改革委員会で「新型コロナウイルス禍の中、欠席者に事後でも賛否を問うことができた」と指摘した。これに対し、市当局は条例の「ガイドブック」を盾に、委員の自発的な議論の行方について「静観」する姿勢を崩していない。

 区政会議の開催は、橋下徹市長時代の2013年に条例化した経緯がある。区政会議の「重み」を実現する究極の形として、松井一郎市長は先の市政改革委員会で、「公選」の区長、区議会による行政運営を挙げた。いわば、都構想のことである。

 市を廃止し、新設する四つの特別区はそれぞれ、選挙で選ばれた区長、区議会が予算編成や条例制定を行うが、住民意見を反映する場は、現在の24区単位に設けられる地域自治区の「地域協議会」になる。四角四面の対応に終始すれば、住民の「不信感」(城東区区政会議委員)を招く。特別区長が積極的に関わり、膝詰めで議論する気概がなければ、「ガス抜き」の場になりかねない。

 前回住民投票の制度案を「バージョンアップ」(大阪維新の会)したという都構想だが、果たして、区政運営の住民参画は保証されるのか。城東区旧庁舎問題を教訓に、「ニア・イズ・ベター」の本気度を見極めたい。(深田巧)

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