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犬飼さん小野十三郎賞 詩集、等身大の言葉で紡ぐ

2019年12月2日

 優れた詩集、詩論に対して贈られる「第21回小野十三郎賞」(大阪文学協会主催)の詩集部門に、犬飼愛生さん(41)=名古屋市在住=の「stork mark(ストークマーク)」(モノクローム・プロジェクト)が選ばれた。妻として、母として、女として、日常生活で浮かぶ違和感やいら立ち、喜びを等身大の言葉で軽やかに紡いだ。

「多くの人に賞を知ってもらいたいし、現代詩を読んでほしい」と話す犬飼さん=大阪市北区

 タイトルの「ストークマーク」とは、新生児の後頭部からうなじにかけて見られる赤いあざの「ウンナ母斑」。つまり、コウノトリ(ストーク)が赤ちゃんをくわえて運んできた跡という解釈だ。11年ぶりの第4詩集となる本書には、2009年に出産した長男(10)の子育てを軸に、30編の詩が収められている。

■いら立ちと喜び

 「子育ては楽しいだけではなくて、苦しさや理不尽さがある。それを母親だけに背負わせてくることに違和感があった」と犬飼さん。

 「振り返ってはダメ!/母なんだから/母なんだから」(『夜のガーデン』)「子どもの精神的安定を母親だけに求めるのはなぜですか?」(『ふつーのお母さん問題』)

 「最終的には共感してもらいながら、『ギョッ』とさせたい」とつづった詩は、母親や女性に向けられる世間の潜在意識、“善良な”子育て志向へのいら立ちを隠そうとしない。一方で、言葉を獲得していく子どもに喜びがあふれる。

 「やっぱり、子どもは無邪気で生命体そのもの。人間は陽気で明るいものだと、人間っていいもんだなと思った」。成長をリアルタイムでつづった詩は、子育ての両面性を表している。

■変化を楽しんで

 小学生の頃から文章を書くのが好きだった犬飼さん。中学生から新聞への詩の投稿を始め、大阪芸術大文芸学科で本格的に詩を学んだ。

 現在は、夫の転勤に伴い名古屋市で暮らし、出産後に資格を取得した看護師として働く。子育てに余裕ができ、地域の子育てボランティアにも参加する。時とともに取り巻く環境は変わっていくが、「基本的には、人との関係性や変化を楽しんで書いている」と、創作意欲は衰えない。

 「自分が賞をもらえたのは、新しい世代として期待してもらった部分もある。現代詩を多くの人に読んでもらいたいし、その大きな一歩にしたい」

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 本体1200円(税抜き)。「Amazon」「minne」で販売中。

 〈プロフィル〉いぬかい・あおい 京都府出身。大阪芸術大文芸学科卒。2007年第3回「詩学」最優秀新人賞。関西詩人協会、日本詩人クラブ会員。


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