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認知症予防 大経大が独自版「コグニサイズ」

2020年2月12日

 大阪経済大人間科学部の学生が、キャンパスのある大阪市東淀川区内の高齢者を対象に、認知症予防プログラム「コグニサイズ」の出張指導を行っている。国立長寿医療研究センター(愛知県大府市)が考案し、全国で広く実施されているが、学生が行うのは“物の季節”に合わせて手足を動かしたり、童謡を取り入れた“大経大バージョン”。笑いが絶えない現場を訪れた。

椅子に座って輪になり、童謡を歌いながら体を動かす参加者=大阪市東淀川区

 「さくら」「春!」「すいか」「夏!」−。東淀川区の大道南福祉会館の一室に大きな声が響く。春は右手、夏は左手、秋は右足、冬は左足。問い掛けに対し、季節を答えて両手両足を動かすのがコグニサイズだ。「ナス」「夏!」「いや、秋やろ」「秋ナスは嫁に、と言うしね」。左手と右足を動かし、また室内は笑いに包まれた。

■機能改善する効果

 国内の認知症人数は、2018年に500万人を突破。高齢社会白書(17年版)では、25年には65歳以上高齢者の5人に1人が認知症になると推計し、昨年6月に発表された「認知症施策推進大綱」は、認知症は防ぐのではなく発症を遅らせ、進行を緩やかにするとの観点に立つ。

 コグニサイズは、計算やしりとりで頭を使いながら体を動かすことで脳の血流が活性化し、認知機能を改善する効果があるとされる。

 大経大版コグニサイズは、昨年9月に人間科学部の高井逸史教授が学生と制作。計算を足の動きで答えたり、童謡に合わせて体を動かす。いずれも椅子に座ってでき、グループで輪になってできるのが特徴。高井教授は「間違えることも重要。グループでディスカッションして、考えることで脳が活性化される」と話す。

■通いの場、学びの場

 同大と地元の東淀川区は、地域包括連携協定を結んでおり、大経大版コグニサイズのDVDを区内48カ所の集会場に配布。当初は、DVDを見ながら高齢者だけで取り組んでいたが、継続が難しくなり、2月から高井教授のゼミ生が現地で指導することになった。

 この日は、2年生の下元香澄さん(20)と、留学生の馬文博さん(32)が約30分間指導。大道南老人クラブ連合会の小林進会長(77)は「体力は年相応だが、頭が衰えていくのを感じていた。頭と手足を使うので戸惑ったが、参加したみんなも一生懸命やってくれました」と笑顔を見せた。

 参加者からは「若返った」の声も上がり、馬さんは「皆さんに喜んでもらえて、すごく楽しかった」と手応えをつかんだ様子。下元さんは「自分も成長できる場にしていきたい」と話した。

 今後も、月に1〜2回のペースで学生が各集会所を回る予定。さらに、高井ゼミの3年生は、住民の高齢化が進む都市再生機構(UR)の新豊里団地でコグニサイズを実施して、卒業研究を行う。高井教授は「学生にとって地域は学びの場、高齢者にとっては通いの場。大学で学んだことを地域で生かしてほしい」と話している。


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